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異世界では平穏な生活を目指します!チートスキル『ツールボックス』を活用した平和な国作り  作者: 鉄馬 メウ


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第124話 イリスからのお礼


「悪運の強い奴らだよ!お前達は」


「なによ!アポロンいきなり悪態かしら、ちょっとは心配しなさいよ!」


 アポロンは俺達を見るとすぐに話しかけて来た。


「ノルン違うよ!アポロンの顔をしっかり見てないと、ここに来る途中までは厳しそうな顔をしていたけど、僕達を見つけた途端に口元が緩んだから、心配してたのが恥ずかしくなってバレない様にあんなこと言ったんだよ!」


「タクトバカか!冷静に分析するんじゃねぇ〜よ!恥ずいだろうが!」

 アポロンは顔を真赤にさせて抗議する。

 素直に言えば良いのに。


「何よ!それなら素直に言いなさいよね!面倒くさいわね」


「ノルンお前にだけは言われたくない」


「何でよ!」


 アポロンとノルンは言い合いをしている。この二人は相変わらず仲が良いな。


「な〜な〜カ◯ピスソーダが飲みたい、買ぉてええか?」


 カンナが袖を引っ張りおねだりをする。


 カンナが箱から可愛い女の子に変わりすごく応えたくなる。


「ん〜でもな〜カンナ飲んでばっかりで大丈夫か?またしたくなるぞ」


「大丈夫や!やり方は分かったから一人で出来る」


「ん、ま〜確かにしっかり教えたからな」

 あれは大変だった。色んな意味で苦痛だった。


「ギリギリまで我慢してすると気持ちんや」


「変なこと覚えんな!買って良いから大人しくしてろ」


「おおきに〜」

 

 カンナはあれから前以上に人間味が出て来た。もうすでにツールボックスとかスキルとかそんな存在とは完全に別物となってしまった。


「抹茶のアイス」

「メンマが食べたいのだ!」

 クイクイと髪の毛と足の裾をが引っ張られる。


「この食いしん坊共が……」

 とは言ったもののカンナに与えて、この二人にあげないのは可愛そうである。俺は甘いのか結局すぐにあげてしまった。反省……


「お〜い!タクト……戻ったんだな」

 突然大声で声をかけられ振り向くと、そこに息を切らせて走って来るタンクが居た。


「あ!タンクさん、ただいま」


「なんだよ随分と軽いな!こっちがどんだけ心配したと思ってるんだよ」


「アハハ、ごめんね!ノルンも無事だし、ボクも何ともないよ」


「………はぁ〜お前ってそんなにすごいヤツだったんだな。大したやつだよタクト」

 あれま〜随分としおらしくなっちゃて、嬉しいような、寂しいような、不思議な感じだな。でも悪くはない。


「タンクさんもノルンに話してあげてよ。喜ぶと思うよ」


「おう!分かった。……あ!そうだ師匠もタクトのこと心配してたから急いで行ってやってくれよ」


「あ!そっか、うん分かったよ。それでどこにいるの?」

 

 俺はタンクさんに言われジェーさんのいる場所に向かった。



………………▽


「おかえり、遅かったわね!」

 そこには一人の少女が本を読んで待っていた。


「………ジェーさん?」


「何で私があのオカマなのよ!分かってて言っているわね!」


「いや〜忘れてました。教会に入ればイリスの領域だもんね。いつもいきなりだからびっくりするんだよ」


「ま〜良いわよ。取り敢えず座りなさい。話を聞かせて頂戴」


「うん、ボクとしてもイリスに相談したいと思ってたんだよ」


 それから俺が攫われてから、聖女様やイグニス、ノルンが攫われそしてゴエティアの王アスモデウスとの戦い。出来る限り説明した。


「そう、大変だったわね。でも良くやったわ。聖女を守り、ゴエティアの王の一人を倒した。これはとても素晴らしいことだわ。褒めてあげる」

 

 イリスはニコリと笑う。

 そして誰かを呼んだ。


「カミラちょっと良いかしら、この間作った宝魔の薬を持ってきてくれるかしら」


「はい、イリス様すぐに持って参ります」

 どこからともなく声が聴こえた。

 それにしてもカミラ?つい最近この名前を聞いた気がするけど誰だっけな?


 少しして黒髪の長いスラッとした女性が小瓶を持ってやって来た。すっごく綺麗な人で知的美人って感じ。


「ありがとうカミラ」

 イリスはその小瓶を受け取ると、それを俺の前に置く。


「イリスこれは何なのかな?薬って言ってたけど、俺は別にどこも悪くないけど」


「それはお礼よ。宝魔の薬、かつて魔王と言われた魔術師が生涯をかけて作った薬よ。それを私がリンゴ味に変えておいた特別品よ」


「なんか凄そうなのに、リンゴ味にしたら凄みが一気に無くなった気が……」


「何言ってるのよ!薬だからって美味しくないのはワタシ許せないの。この薬だって最初は死ぬほど苦かったんだから〜」


「ま〜そうなんだけど……美味しい方が良いか、それでこの薬は何なの?」


「その薬は簡単に言うと魔力増幅剤よ。飲めば魔力が十倍くらい増えるんだからお得よ!」


 ………わーすご〜い………


 ………凄すぎて………意味わかんな〜い。


「えーー何それ、そんなびっくりアイテム有りですか〜」


「それは有りよ!だってワタシ神様なんだから」


 そうですよね〜


 神様だから有り、そうだよ神様なんだから何でも有りでいいじゃん!ある意味これ以上納得出来る言葉はない。


「でも良いの?こんなに凄い物を貰っちゃって」


「良いに決まってるでしょ、あなたはそれだけの事をやったのよ!誇っていいわ!あなたは使徒としての役割を果たしたの、それならそれ相応の対価を支払うのは私達神の義務でもあるわ」


「そうですか、それでは遠慮なく」

 

 俺は薬をぐいっと人飲みした。すると身体から吹き荒れる様に魔力が吹き出す。


「なんじゃコリャ〜」

 俺があたふたしていると、

「何をしているの?早く魔力を制御しないと干からびて死ぬわよ」


………はぁ?なんですって?


「イリス質問何だけど、これってヤバい状況なの?」


「それはそうよ。魔力量がいくら上がったって言っても出し続ければいつかは無くなるわ。

 タクトは薬を飲んで身体がびっくりしたのね。魔力を抑えている蓋が取れたみたいになっちゃったのかしら?ま〜良くある話よ。早く制御して抑えなさい」


「なんてこった〜、どうすれば良い?こうか、それともこうか?こうなのか〜」

 全然収まらん。このままじゃ死ぬ〜


「タクトくん、まずは冷静になって、心を落ち着かせましょう。あなたならきっと出来ます。私の言う通りに」


 先ほどのカミラと言う女性が優しく俺の手を握りゆっくりとささやく様に教えてくれた。


「魔力は抑えつけるものではありません。流れをよく見て、そして流れを読むの、きっと何かが見えてくるわ」


 俺はカミラさんに言われた通り実践する。すると魔力には一定の流れが見えてきた。そしてそれを見ながら魔力を操作するとすごく分かりやすい。一部の魔力だけなんだけど方向を自在に操れる。


「うん、それで良いわ。あとはイメージして外に漏れた魔力を内に戻すように、円を描く様に循環させるのよ」


 魔力を循環……やってみよう。

 身体から溢れた魔力を一定の方向に向けて、それをグルグルと内と外に回しそして留める。


「すげぇー……出来た」

 魔力は身体に定着し、今までを遥かに上回る魔力を感じる。


「これがボクなのか?生まれ変わったみたい」


「うん、よく出来ました。とっても上手よ」

 カミラさんはニコリと笑い、頭を優しく撫でてくれた。

 先生好きです!と一瞬言いそうになってしまった。

 優しくて知的な女性、グッと来ますな〜


「何を見とれているのかしら?言っておくけど、うちのカミラに手を出したら跡形もなく消しちゃうわよ」


「イリスそれは酷くないか?そもそも薬のせいで死にかけたんだぞ!何で先に言ってくれないんだよ!」


「それはあなたが出来ないのが悪いのよ」


 え〜それは酷いのでは?でも一理あるか……


「はぁ〜分かりましたよ」

 俺は仕方なく納得する。

 

「それよりカミラさんありがとうございます。おかげで助かりました。それに魔力が前より格段に操作出来るんです。教えるのお上手なんですね」


「え〜昔学校の先生をやっていたことがあるの、だから人に教えるのが得意なのよ」

 カミラさんがニコリと笑う。

 

 あ〜カミラさんって天使みたいな人だ。


「タクト、声が漏れてるわよ」

 

 ゲ!?ついつい心の声が……


 クスクスと笑うカミラさん、笑顔が素敵だ〜。


「それにカミラは天使みたいじゃなくて天使よ!つい最近眷属に加えたの」


 あ!?本当だ!

 よく見るとカミラさんの背中には白い一対の羽が生えていた。本物の天使だったんだ。


「良い子が見つけたからスカウトしたのよ」


 へー天使ってスカウトされてなるもんなんだ。俺もなれるのかな〜


 その時は気づかなかった。このカミラと言う天使が何者なのかを………


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