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第115話 アスモデウス、そして少年が現れる


「ウワァァァ、フガァァォァ」


 ジャックは自分の腕を引き千切り拘束から逃れ俺を襲って来た。


「うわぁ!?空間障壁!」

 ギリギリのところで攻撃を防ぐことが出来た。

 ジャックはケモノのように暴れ俺を襲うのを止めない。


「ハンマークラッシュ!」

 ジャックは側面から殴り吹き飛ばす。

 さっきと違いダメージを与えているはず。


 ダメージは確かにあった。ジャックの足は折れ曲がっている。しかし一向に殺気、威圧感が収まらない。


「ジャック、諦めろ。もうお前の負けだ!そんな状態で勝てると思うのか?」


 ジャックの表情が変わり、冷たい視線を向ける。おかしいさっきまでと別人のようだ。


 ジャックはケモノのように手を足のように使い走り移動、また襲ってくるのかと思っていたが移動した場所は、さっき亡くなった女性の場所、ジャックはその女性を見ると一心不乱に噛み付き食べたのだ。


「うっ、……ジャックやめろ!そんなことをして何になる。これ以上彼女達を痛めつけるのは許さない!」


 あまりの光景に初めはたじろいたが、非人道的な行為、許してはおけない。


 ジャックに向かって走り、向かっている途中だった。ジャックを一瞬見失う。


 次に気がついた時には、ジャックによって俺の腕は切り裂かれていた。


「痛っつー……やってくれる!」

 切り裂かれた腕はそれなりに深い傷だが、絆創膏ばんそうこうを数枚貼り付けておけば大丈夫だ。それより明らかにジャックが変異している。さっき引き千切った腕は再生し、その手は鋭く長い爪が生え、口からも牙が見える。そして頭には角が五本生えていた。


「これは悪魔化ってヤツか?」


 ジャックは赤く光る目をこちらに向けて、鋭くなった歯を見せ口を開く。


「控えよ。低俗な人間、我は九王が一人アスモデウス、分かっていての狼藉であるな!」


「やっぱりジャックじゃないのか、それでそれがどうした九王だろうがなんだろうが倒すと決めて来た。お前は俺の敵だ!」


「随分と思い開かったものだ。たかが数十年しか生きられない人間が、我ら悪魔に逆らうのだからなお前らなど我らの食材でしかないというのに哀れよの〜、だが逆らった以上楽には死なせん。あの世でもこの世でもな」


 アスモデウスから凄まじい量の魔力が迸る。

 これが九王の力、さっきまでとは格段に違う。


 だけどたぶん大丈夫、確かに威圧感も魔力も格段にましたけど、さっきみたいに攻撃が効かない反則スキルはないと思う。なので俺はまずアスモデウスが逃げられないように周りに空間障壁をこっそりと張り、バーナーを向ける。アスモデウスは逃げようとするがもちろん逃げられず空間延焼で攻撃、さっき全属性無効化を0%にしておいたからバリバリ効いている。アスモデウスの叫び声が聞こえた。


「そろそろ良いかな?」

 バーナーを止めると黒焦げのアスモデウスが転がっていた。バカだね〜自分の力を過信するから、見てなかったの?さっきまでの俺とジャックのやり取り、強すぎるって言うのも考えものだね。


 そんなことを考えていると、アスモデウスはみるみると再生していく。超速再生的なスキルも持っているのか。


「おのれー低俗な人間が!食いころ……うげぇー」

 

 なんかまた変なことを言い出しそうなので蹴り飛ばし仰向けにする。

 はぁ〜またこれ見ないとダメなの〜萎える〜


 俺は再びジャックの股間を見て、そこにライトの光を当てる。


「ぐあーやめろ〜」

 ジャックの悪魔との契約紋を消した。

 そうすれば悪魔は肉体を失い、ただの魔力の塊となり直接的な攻撃が出来なくなる。


「おのれ〜まさか聖人共と同じスキルを持っているとは、油断したわ!」


 だからさっきから油断し過ぎなんだって!

 俺はライトをアスモデウスに向ける。


「仕方がない今回は我が引こう。ジャックは欲深く性欲が強い男であったが少々思慮に欠ける男、我には合っていなかったわ」


「ブツブツ言ってないでさっさと消えれば良いのに、むしろ合ってるわ!お前もジャックももっと周りに注意しろ。……ライトOn!」


「ギャーーま…ぶ…し…い〜」

 黒くモヤとなっているアスモデウスに入念に光を当てていく。


「流石は九王だわ!なかなか消えない〜ゴキブリ並みのしぶとさ」

 

 ライトを当てていると後ろに誰かの気配を感じた。


「タクトくんは言い方酷いな〜、アスモデウスくんはちょっと頭足りてない分だけ身体が丈夫なんだよ。そこは褒めるところだよ」


 後ろには一人の少年が立っていた。


「アトラスくんだっけ?もしかしてこいつを助けに来たのか?」


「わぁー!嬉しいな!ボクの名前覚えてくれてたんだ。嬉しいな〜」


 少年の笑顔の裏に何があるのか、本当に無垢な笑顔に見える。だけどこいつこそ俺を狙いイグニスを操っていた男。


「言っておくが、ボクが何も知らないと思うなよ!お前もボクの敵だ!分かってるんだろうな!」


「えーーボクは君と友達になりたいだけなのに〜これからは仲良くしよう」


「はぁっ!冗談も程々にしろよ!お前は信用出来ないし関わりたくないね!君が悪いんだよ!オマエ!」


「ふ〜んそっか…残念!ボクは君に興味津々なのに、ま〜まだまだ時間はあるから〜これからゆっくりと仲良くしていけば良いか!」


 アトラスは何事もなかった様に、俺の隣を素通りしてアスモデウスの前に立つ。


「アスモデウスくん、まだ意識あるかな〜?」

 モヤに言葉を投げかける。

 少しすると反応があった。


「パイモン!?おー助けに来てくれたのか!」


「うん!そうだよ。意識があって良かった。それじゃ〜帰ろうか」


「おい!待てよ!普通に帰ろうとするなよ!」

 当たり前だが、はいそうですかと、逃がす訳がない。俺はハンマーで攻撃する。


 しかし……アトラスには何も起こらなかった。


「チッ、もしやとは思っていたが、お前も空間に何らかの干渉が出来るんだな!」


「うん!ま〜ね〜。君は特別なのかもしれないけど、君だけが出来るとは限らないよ!それじゃ〜ボク達は帰らせてもらうね〜じゃ〜ね〜」


 アトラスはブンブンと笑顔で手を振り、黒い空間に飲まれて行った。


 やられた。しっかりとアスモデウスを連れて行かれた。最後の最後で俺が油断しちまった。でも、あいつ……アトラスに隙がなかった。それに何より不気味で攻撃を躊躇してしまっていたかもな。仕方がない過ぎたことだ、これからの事を考えよう。


 何にしても戦いは終わった。


 俺は腰を下ろした一息つくと、

 どこからともなく声が聴こえる。


「あ!そうだ、言い忘れていたんだけど、今その町にアスモデウスくんの部下4人と魔物の軍団が五千くらいかな〜、アスモデウスくんの敵ってタクトくんを殺しにその町に向かっているから気をつけてね〜。じゃ〜ね〜」


 あのやろう〜やりやがったな!


 戦いはまだ終わっていなかいようだ。……ガクッ!


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