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第114話 ちっちゃいからって侮れない


「エウゥーーなんでこんな粗末なもん見ないといけないんだよ」


「ふざけるな!この至高の一品がお前には分からないのか!」


「うるさい!腰を振ってこっちに向けるな!あんまり見ないようにしてやってるんだから!」


 俺は悪魔との契約を破棄させる為に、契約紋にライトを光属性で当てているが、どうやらダメらしい。全属性無効化、これが本当に厄介だ。


「う〜ん……カンナ、新しく手に入れたスキルはないのか?」


 ここは頼れる相棒に聞いてみよう。


「残念やけど、新しいツールはないでぇー」


「そっか……ないか〜今ある中から考えるしかないのか」


「あ!せやけど、まだつこてへん能力はあるでぇ!」


「使ってない能力?」


「せや!ドライバーのスキルが進化したやろ」


「あ〜マイナスドライバー(貫通Ver)、先端が変わったうえに貫通タイプに変えられたけど他にもあるのか?」


「せやせや、他にもあるんやな〜これが!」


「おお!マジかよー、カンナ教えてくれ!」

 

 道具が進化!熟練度で能力アップってか!よっしゃー運が回って来た。


 ドライバーと言っても細く分ければ数多くの形と用途がある。例えばインパクトドライバー、これは固着したネジに衝撃を与えるドライバー、衝撃を与えるのと同時に回転するので、これで固着したネジを緩めて外す。電動ドライバー、これはモータによって回転するドライバー、多くのビスを外す際にとても便利なドライバー、この辺のドライバーが異世界Verになったら超強力かもしれない。


「タクトほいな!これでやっちゃれ!」


「何でよりによってこれなの?」

 カンナに渡されたのは小さく細いドライバー、俗に言う精密ドライバーと言われる物、よりにもよって何でこんなに弱そうな工具を………


「カンナ……これなの?」

「せや、精密ドライバーやで!」

「そっか、これか〜……」


 渡されたドライバーは数センチの長さで簡単に折れそうな物、精密ドライバーは一般的には時計やメガネ、カメラ等の微細なビスを締める道具。


「う〜ん……これでどうしろと?………あ!?」

 その時頭の中に精密ドライバーのスキルの使い方が入ってきた。


「なるほどね!そっちね!これは使えるかも」


 精密ドライバーは設備の各部位の動きを制御する電気機器の出力調整に使用されることがある。どちらかと言うとこの道具はそれに近い。


「ちっちゃいからって侮れないな。この道具ある意味、今までは使っていた道具の中で一番使えて強力な道具かもしれない」


 俺は精密ドライバーをジャックに当てる。


「何のつもりだ!そんな物で私を倒すことは出来ない諦めてこの拘束を解け!」


 うだうだ言っているが、無視だ!無視!


 精密ドライバーを当てたところにメーターの様なものが浮かび上がった。そこには数字が書かれており、矢印が100%を刺している。


「物理攻撃無効化?」 


 メーターには物理攻撃無効化と明記されていた。


「なるほど、じゃ〜例えばこれを50%に調整っと」

 精密ドライバーで矢印を50%に合わせた。


「おい!聞いているのか!キサマ……ヘブー」

 取りあえずジャックの顔面を殴る。


「どうだ?痛かったか?」


「キサマ〜!ふざけてるのか!人の顔面を殴って痛いのかだと!痛いに決まっているだろうが!」


「おぉー………なるほどなるほど……次行きまーす!」

 俺はニヤリと笑う。


 今度は全属性無効化と明記されたメーターを100から0%に調整する。


「キサマさっきから何を…アバババババババババ」

 俺はジャックに触れて電撃を放った。

 この反応、間違いなく電撃に効いている。

 つまり全属性無効化を無効化したと言うことだ!


 ジャックへの攻撃をやめるとプシューっと音とケムリを出してグッタリしている。気を失ったようだったので再び蛇口から水を出しかけると目を覚ますのだ。


「キサマーボクにこれだけの非礼な行為をしたのだ。生きたまま悪魔の餌くらいにはなってもらうぞ〜」


 最初の爽やかイケメン風な雰囲気はなくなりなんとも悪党ぽいことを言うようになった。もう冷静ではない様だ。でもまだ気がついていないんだろうな〜自分のスキルが破られていることに、よ〜し親切に教えてあげよう。


「ジャックさんどこか身体は痛くありませんか?」


「何を白々しいことを、さっき殴った頬と全身がヒリヒリと痛むわ!…………はぁ!?」

 

 ジャックは………固まった。もの凄く驚いた顔で、イケメンの顔が台無しだぞ。クックック、じっくりと今までのことを後悔させてやろう。


「気がついた様だな!ジャック、あんたのスキルはもう使い物にならないぜ。ここからお前を地獄に叩き落としてやるよ!」


 俺は拳を振り上げてジャックを連打で殴った。ヘルメットの力による高速連打はジャックに今まで感じたことがない痛みと恐怖を与える。


「やめてくれ〜もう許してくれ〜」

「うっさいわ!ボケ!お前は多くの女性を苦しめ殺したんだ。とても許される訳がない。言っておくが俺はそれほど優しくないから覚悟しておけよ!」


「ヒーー助けて!とうさんとうさん、

もうわがままは言わないから許してーー」

 泣き叫ぶジャックを見て、俺は呆れ返っていた。周りをみればさっき死んだ女性だけではない。多くの苦しみ嘆いていた女性の遺体がゴミのように転がっていた。怒りがどんどんと込み上げてくる。


「ダメだな!これ以上お前を見ていると、俺もおかしくなりそうだ。さっさと死ん……」

 

 俺がトドメを刺そうとニッパーを取り出した時だった。ジャックに突然異変が起きる。


 苦しみながら歯を食いしばりケモノのように唸り声をあげるジャックは俺を襲って来た。


…………………………………………………………………


名称∶精密ドライバー

分類∶道具

属性∶空間(調整)

効果∶☓☓☓☓☓

性能∶空間内にあるものの出力調整が可能、

   主にスキルに対して効果があり

   状態異常、強化スキル、付与系スキル等

   (取り扱い注意)

   最大値は上げられない

   動きが止まっているものにしか効果がない

    

…………………………………………………………………


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