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第110話 シャックス侯爵の叫び


 身体が動かない。普通なら大ピンチだと思うけど、俺は大して心配していなかった。そもそも俺達を二人って言っている時点で油断って言うか周りが見えていないんだよ。何が大人の戦い方かね〜、見本になる大人を見せてほしいもんだ。


「うわぁーー、なんてことをするこのバカ犬が!」

 

 ニキはシャックス侯爵の腕を引っ掻き切り裂いた。

 ナイフを地面落とし、腕からはダラダラと血を流している。


「周囲確認、周りをよく見ないと怪我をしますよ!」


「ガキが!舐めたことを言いよってぇー」

 おーさっきまでの余裕顔から怒り心頭に変わったわ。だから冷静になって周りを見ろって言ってるんだけどな!


「大地の精霊、このアホに鉄槌を!」

『ハンマークラッシュ』


 床から大地が突き上がりシャックス侯爵の股間に命中、「アォー」……悲痛な叫び声をあげて悶絶、泡を吹いてぶっ倒れた。


 術者が倒れたことで俺達にかけられた金縛りは解け自由に動けるようになった。


……………▽


 シャックス侯爵を縛り上げ、椅子に座らせるとまずはシャックス侯爵の真上に蛇口を設置、ハンドルを捻る。すると蛇口から大量の水が流れ出した。


「うぁっ、つ、冷たい、なんだ!やめろ!」

 シャックス侯爵が目を覚ます。


 うん、これは便利、これからは水を汲みにいかずいつでも簡単に綺麗な水が飲める。それに野宿の時も身体も洗えるから清潔でスッキリ出来るな。


 俺はハンドルを閉めて水を止めた。


「やぁー!シャックス侯爵、目が覚めたみたいで良かったよ!起きたばっかりで悪いけど現状は理解出来ているかな?」


「うぬぬぬ、貴様、私にこのようなことをしてただで済むの思うなよ!」


「あれま〜あんまり理解が出来ていないようだ。残念です。出来ればやりたくなかったのですが、ご覚悟をシャックス侯爵」


「え!?…………ギャーー」

 それから暫くシャックス侯爵の叫び声が響いた。


…………▽


「あとで元に戻すの面倒くさいから早めに教えてほしんだけど」


「アワワワワワ、お!お前は悪魔か!」

 恐怖におののくシャックス侯爵、顔色が真っ青になり、目をキョロキョロさせて落ち着きがない。


「いや、悪魔はあなたでしょが、散々悪いことをやったんだから反省しなさい!」


 シャックス侯爵の身体はマイナスドライバーによってバラバラにされていた。実験みたいで悪いけど、切断しても血は出ないが切った時は痛覚があるらしく、切るたびに叫ぶから煩くって聞くに堪えなかった。だけどこいつみたいな悪党にはこのくらい当然の苦しみだと思うね!


「そろそろ喋る気になったか?これ以上喋らないなら、其辺の森に身体をばら撒くからな!二度と元に戻れると思うなよ!」


 俺としてもこれ以上拷問まがいのことはしたくない。怒気を込めてシャックス侯爵を威圧する。


「教える!教えるから助けてくれ。私も本当はこんなことはしたくなかったのだ!息子のジャックに言われて仕方なくなんだ!」


 やっと喋る気になったか、でも少し違和感があるぞ。なんかまるでこいつより息子のジャックってヤツの方が偉いみたいに聞こえる。


「そんなの知るか!だいたいお前は親なんだから、しっかりと言って止めれば良いだろうが!」


「それがそうもいかないんだよね!」

 突然どこからともなく声が聞こえた。今の声はここにいる誰でもない。まさか気配を殺して誰か他にもいるのか!


 俺は慌てず周囲を見廻すと、シャックス侯爵の首の後ろに黒いモヤの様なものが見えた。


「気がついたか?俺様が!」

 黒いモヤはモクモクと広がり、やがて顔のような形に変化、そのモヤが喋りだす。


「こいつは逆らえないぜ!なんせジャックに宿っているのは、我らが王アスモデウス様だ!逆らえば死よりも恐ろしい運命が待っている。それはこいつもよく知っていることだからな」


「ふ〜ん、そうか、お前はそのアスモデウスってヤツの部下なわけだ。そしてシャックス侯爵に取り憑いていた。上下関係はそこから来た訳か、なるほど理解した。つまり今回のことを計画した首謀者はジャックってことか………ならそいつを倒さないとな、やっぱりジャックの居場所は聞いても教えてくれないんだよな?」


「いいや、教えてやろう」

 真っ黒な顔ではあったが明らかにいやらしくニヤついたのが分かった。何か企んているのか?


「なんだ?簡単に教えてやるのが気に食わないのか?別に何も企んではいないぞ。ジャックのいる場所、俺はそれを教えるだけで別に良いんだ。さっきも言っただろ。死よりも恐ろしいことが待っていると、俺はお前達にそれを教えるだけで、それが叶うのだ!簡単だろ。それにジャックとアスモデウス様はそこの女をご所望だ。邪魔など出来ん!それでは教えてやろう。ジャックはこの屋敷の地下にいる。そこに行くにはジャックの部屋にある鹿の飾り物を調べろ。そうすれば地下への道が開かれる。絶対に行くのだぞ!」


「ありがとうよ!なんとなく分かった。それでお前は逃げるのか?」


「ふん、逃げる冗談ではない。その様な表現は止めてもらおうか、この男があまりにも使い物にならないのでな。出て行くことにしたのだ!」


「あ〜そう言うことですね。それであなたもやっぱり72柱の一人ですか?」


「フッ、いかにも俺様は72柱の一人デカ…ギャー!眩しい〜熱いアツイーー」

 ライトの光に当てられた72柱のなんとかさんはケムリをだし消滅した。


「チッチッチッ、そんな簡単に逃がす訳ないでしょ!悪魔は早めに潰しておくのが吉なんでね!」


 俺はライトの聖なる光によりシャックス侯爵に取り憑いていた悪魔を倒した。そして地下にはゴエティア72柱の九王がいる。こいつを倒して終わりにしてやる!


……………………………………………………………


名称∶蛇口

分類∶水道部品

属性∶空間 水

効果∶☓☓☓☓☓

性能∶どんな空間でも清浄な水を生成する

   水量は魔力に比例する

   水に限らずお湯として出すことも可能

   

……………………………………………………………


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