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第108話 エアコンをかけて聞いてみました


 ノルンを救出した後、グラムまではあれから一日ほどで着いた。今思えばあと少しでノルンはここに連れて行かれて酷い目あわされていたかもしれない。それを思うと怒りがふつふつと湧き上がってくる。

 しかしそんなことはまったく知らずかノルンは満面の笑みでアイスを頬張っている。


 ま〜俺があげたんだけど、それにしても美味しそうに食べている。

 

 俺も少し考え方を変えた。今まではこのスキルを隠し目立たず静かに暮らしていこうかと思ってたけど、もう無理だろう。村ではかなりの怪我人を治療して、ノルンを救うために勇者イグニスを倒してしまった。今更ただの少年です。では誰も納得してくれない。それに今からもっと派手にやらかすつもりだから、もう俺は好きにやる!我慢するだけ無駄だしね。


「ノルン、そんなに美味しいならもう一本食べるか?今度はチョコレートで包まれたも〜っと甘いアイスを出すぞ!」


「えーー!良いの!やったー!」

 ノルンは甘いものに目がないからな。

 いつものキツめの目つきじゃなくて可愛さが全面に出ている。そんな姿を見せられるとおじさんもっとあげたくなっちゃうな〜。

 

 ちょっとだけ、平穏な時間を過ごし、そろそろ気合を入れるか!

 

 俺達はシャンクス侯爵の屋敷の前に着いた。かなり立派な屋敷で周りには大きな壁と巡回している兵士がおり簡単には侵入させてはくれなさそうだ。

 

「タクト、鎧を着た兵士があんなに……どうしよう。どこがで騒ぎでも起こして誘導してからこっそり別の場所から侵入する?」


「ん〜……それも良いんだけど。今回は堂々と行こうかな。なんかさ逃げてるのは癪だもん。やっぱり正面突破だよね!」


「え!?ちょっとタクトなに考えているのよ!あんなのまともに相手してたら……」


 慌てて俺を止めようとするノルン。


「ま〜ま〜大丈夫だから任せてよ!」

 

 俺はノルンを振り切り、そのまま屋敷の門に歩いていく。


「待て!貴様何者だ。ここはシャックス侯爵の屋敷と分かっての狼藉か!」


 なんで門の前に来ただけでそんなことを言われないと行けないんだよ!まったく躾がなってないんじゃないかシャンクス侯爵さんよ。


「あ!すいません。シャンクス侯爵にお会いしたいんですけど、門を開けてもらえます〜」


「ガキ!舐めたこと言ってるんじゃねぇ〜ぞ!」

 兵士のおっさんが青筋立てて顔面を目の前まで近づけてくる。くっさいからさっさと離れてほしい。


「タクトやっぱ流石に無茶だよ!一旦戻ろ!」

 ノルンが心配して着いてきてくれた。俺の腕をグイグイと引っ張る。


「なんだよ!ガキが見せつけやがって、ムカついたぜ!斬り殺してやる」


 兵士は剣を引き抜いた。


 はぁ!?そんなことで殺すつもりか〜どんだけ女にモテなかったんだよ!じゃないか、沸点低すぎ、まったくその辺の盗賊と大して変わらないんじゃないか?


「仕方がないさっさとやるか、『エアコン』スイッチON、設定温度は………二百度で!」


「うぉー、なんだ!熱い!」

 剣を引き抜いた兵士だけではなく、周りにいる兵士達は叫び声をあげ真っ赤な顔をしてふらふらと動き回り最後には倒れて動かなくなった。


「え!?え!?え〜〜どうなってるの〜!」

 ノルンは倒れていく兵士達を見て何が起きたのか分からず驚いていた。


「さ〜ノルン行こう」

 でも説明するのはまた今度にしてさっさと進もう。騒ぎを聞きつけて集められても面倒だし、しかしあれだけ叫ばれれば誰かしらは気がつく、集まったヤツをエアコンで攻撃するとまた叫ぶからすぐに敵が集まって来たので、結局百人くらいの兵士を倒したと思う。


 それにしても広い、シャックス侯爵がどこに居るか見当すらつかない。大体この建物同じような場所ばかりで方向感覚狂うんだよ!これじゃ〜埒が明かない。


 そんなことを考えているとまた兵士がやって来た。ワラワラワラワラとゴキブリかお前達は!


「貴様!どこから入った!ひっ捕らえてくれる」


 なかなか元気そうな壮年のおっちゃん兵士が騒いでいる。丁度良い。あのおっちゃんに聞いてみるか。


「エアコン設定温度百度くらいにしておくか」


「うぉーー何だこれは!?熱いぞー」

 おっちゃん兵士は片膝をつき何とか倒れるのを耐える。


 俺はおっちゃんの傍に近づき優しく声をかける。


「おっちゃん、ボクさ〜シャックス侯爵に会いたいんだけど、どこに居るか分からなくってさ〜、おっちゃんどこに居るか教えてくれる!」


「ふ…ふざけるな……誰が……お前なんかに……教えるか……」

 おっちゃん兵士はダラダラと汗をかき洗い場呼吸で抵抗する。

 さっさと喋ってほしんだけどな〜。


「設定温度プラス三十度に変更しょ〜」


 うぉーーと再び叫ぶおっちゃん兵士、どこまで耐えれるかな?


「ね〜辛いでしょ!早く喋りなよ。もっと温度をあげちゃうよ〜」


「う…うるさい…ガキが!調子に乗るな!」


 お!意外としぶとい。おっちゃん中々やるじゃん。暑さには強いタイプなのか?それじゃ〜今度は……


「「設定温度マイナス三十度に変更っと!」


「ニゥワワワワワ……ざむい〜」

 身体をブルブルと震わせ耐えようとしている。

 これなら我慢出来ずに話すだろう。


「おっちゃんそろそろ喋ろうぜ!」


「ガチガチガチガチガチガチガチガチ」


「……………ダメだ!寒いせいでまともに喋れなくなってる」

 少々温度設定を間違えてしまった。この後おっちゃん兵士は気を失ってしまったので、また集まって来た兵士に同じことをしたらあっさり教えてくれた。


 これでシャックス侯爵のところに行ける。

 待っていろよ!ボコボコにしてやるからな!


 俺達はシャックス侯爵が居る4階の書斎へ向った。


…………………………………………………

名称∶エアコン

分類∶電気機器

属性∶空間 火?水?氷?

効果∶☓☓☓☓☓

性能∶一定の空間の温調が可能

   広範囲

   設定範囲マイナス五十度〜三百度

   (定期的に清掃が必要)

…………………………………………………

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