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第105話 俺は決して許すつもりはない


◆イグニスの視点


「うおぉぉ!」

 俺の身体吹き飛ばされ木にぶつかり、それでも勢いが止まらず、更に奥へと吹き飛んだ。


「あーいたぁ!」

 数十メートルは飛ばされたな。

 腕を確認……痛むが折れてはない。戦える。

 突然側面から威圧を感じたから、咄嗟に防御体勢を取ったが正解だったな。

 威力はドラゴンとの衝突と遜色ない威力、まともに受ければそれで終わりだったかもしれない。


 やはりお前は俺が思っていた通り、いやそれ以上だ!面白い。


 アイツはただのガキではない!強敵だ!

油断など微塵もするな。


 身体に闘気を漲らせて勇者の剣を引き抜いた。


◆タクトの視点


 さっきので終わっていれば楽だったんだけどな。そう甘くは行く訳がないか、勇者の名は伊達じゃない。


 俺はヘルメットと手袋を装着し、右手にハンマー左手にプラスドライバーを持ち戦闘態勢を取った。


 まずは牽制でプラスドライバーからビスを数発高速射出、イグニスはそれを左に回避し俺はそこに合わせてハンマーを振る。空間圧縮で潰すつもりが、イグニスは剣から猛烈な炎を放出し緊急回避する。


「逃さない!」

 俺は高く飛び上がり、更に手袋の力、空間障壁を足場にぐんぐんと飛び上がる。


「来いタクト!」

 イグニスは剣から猛烈な炎を放出、巨大な火球を剣を振り飛ばして来る。


 俺はそれをハンマーを振り、空間圧縮で捻り潰し、プラスドライバーからイグニスに向かいビスを射出する。


「そいつは受けねぇーよ!」

 イグニスは剣から炎を放出しその推進力で移動する。


「んぐ!?なに!……動かないだと!」

 イグニスの身体が空中で突如止まる。

 イグニスは確かにビスを躱したはずと思っていたが、背中に鈍い痛みを感じる。どんな方法かは分からないが攻撃を受けたことを理解した。

 タクトを見ると、さっきと違いハンマーではなく長い鉄の棒を持っている。恐らくあれにやられたとイグニスは感じた。



 攻撃が上手くイグニスに当たってホッとした。この人なら気配を感じて躱しそうだったからな上手くいくかは半々ってところだった。


 攻撃方法はいたって単純な方法を取った。配管の穴にビスを飛ばしイグニスさんの後に空間転移、流石のイグニスさんでも反応が出来ずに攻撃はヒット。


「イグニスさん、終わりです。降参しますか?」



「ん……あぁ…………この程度じゃ〜俺は止まらない!」

 

「うぉーー」

 イグニスさんは雄叫びをあげて動き出す。背中から嫌な音、何かちぎれるような音がする。


「アァァァァ」

 イグニスは背中の肉を引き千切り無理矢理ビスの拘束から脱出をする。だらだらと流血する背中を気にせず、そのままこちらに突っ込んで来た。


 俺は空間障壁を展開し、それを受け止める。


「!?」……「熱い?」

 今まで鉄壁だった空間障壁が僅かに貫かれている?

 

 感じたことのない違和感とイグニスが放つ炎の剣の熱量が貫通し俺を焼き始める。


「させるかーー!」

 俺はもう一枚空間障壁を張り防御を高める。

 

「チッ……硬いな」

 イグニスは一度離距離を取った。


「あいつやるわね!空間にヒビを入れるなんて」

 突然カンナが現れる。


「カンナさっきの分かるのか!」

「当たり前やろ、そのくらい余裕よ!でもあのおっさんの剣はまずかったわね!

「勇者が扱うための剣らしいからな。普通じゃないだろう」

「せや!あの剣に魔力を込めて放つ斬撃は空間にヒビを入れるほど凄まじい、まともに受けると貫かれる」


 カンナのアドバイスを受け、戦い方を変えなければならない。空間障壁はこの戦いにおいて俺の圧倒的優位性の部分だっただけに精神的ダメージも大きい。

 

「デュランダル……本当にお前は俺には勿体ない剣だぜ!すまないがもう少し俺に力を貸してくれ」

 イグニスが持つ剣はさらに激しい炎放ち、イグニスの腕を覆う。そしてこの炎はさっきの攻撃を上回る。


「ここが正念場だな。………勇者を打ち倒す力か……」

 

 この時、頭の中であることが思い浮かんだ。それはイグニスを倒す方法ではなく。なぜイグニスがノルンを攫い、ゴエティアに従っているのか?初めは怒りでそこに頭がいかなかったけど、今は逆にクリアになってそこが気になってしまった。


「イグニスさん、なんでこんなことをしたんだ?教えてはもらえないのか?」

 多分この言葉は自然と出た言葉だ。

 言うつもりはなかった。

 

「あぁ?それを聞いてどうする。タクトお前は俺が納得出来る理由があれば許すとでも言うつもりか、俺はお前の町を焼き、バロンを斬り、ノルンを売ったんだ。俺を殺す。それで良いだろう」


「勘違いするな!イグニス、俺はお前を許すとは言ってない!ただ知りたいだけだ!」

 そう俺は決して許すつもりはない。ただ何も知らずに終わらせて良いのかと自分の心が訴えていた。


「そうか……良いだろう。ただしそれは俺を倒してからだ。タクト俺を殺す気で来い。俺はそれを叩き斬る!」


「分かった。イグニスを倒せば良いんだな!」

 俺はマイナスドライバーとハンマーを手に持ち魔力を最大限まで込める。


 俺はあんたをぶった切る!強い意志と想いを込めタクトとイグニスは衝突した。


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