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トーキョーから!
映像は夜の街に変わった。きらびやかなショーウィンドーに囲まれた広場らしき場所に、金髪の太った男性リポーターが立っている。
「東京から、デイヴィッド・ポートマンがお伝えします。えー、ここ東京スカイツリーの前では、とくに目立った混乱は起きていません。人々は週末の買い物に夢中で、宇宙人の来寇など、どこ吹く風といった感じです」
「……真っ赤な黄河を黄色く戻すために、愛の募金をお願いしていまーす……!」
大学生くらいの娘が、募金箱を抱えて叫んでいる。
「スカイツリーの巨大ディスプレイには、いまもBBQテレビの全世界生中継が配信されています。わたくしが映っております。言葉は自動的に日本語に吹き替えられています。が、日本人にはあまり事態の深刻さが伝わっていないように思われます」
「……真っ赤な黄河を黄色く戻すために、愛の募金をお願いしていまーす……!」
「以上、東京から、デイヴィッド・ポートマンでした」
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「東京は相変わらずですね、バーバラ」
「まったく。呑気な国ですね」
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