正午のニュース!
※ この小説はフィクションであり、登場する個人、団体、組織等は、実在のものと一切関係ありません。
最初は音声だけで始まる。映像は真っ暗で、何も映っていない。
「では次のニュース。メキシコのレアンドロ大統領とフィリピンのカッサーノ首相は、連名で、両国の漁業に対する米豪活動家の攻撃的な干渉に憂慮の意を表しました。キャンベラからマシュー・トッドマンです」
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「えー、ここキャンベラでは、宇宙人との友好的な関係を模索する民間活動団体、ロングホウラーズ主催のデモが通りを埋め尽くしています。デモはすでに二日間続いており、中米と太平洋、さらにアフリカ諸国で行われているUFO漁業に対し、激しい抗議の意を表明しています。あっ、万国旗が焼かれていますね。炎が上がっています。……警察当局は国内のカラードに対し、夜間できるだけ出歩かないよう警告しています」
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「キャンベラからマシュー・トッドマンでした。この問題に対し、現在ニューヨークで開かれている国際捕UFO委員会(インターナショナル・UFOキャッチャーズ・コミッション、IUCC)総会では、UFO資源の保護のため、世界的な年間捕UFO量の制限を行うべきとの意見が提出され、捕UFO国と反捕UFO国との間で激しいやりとりが交わされています」
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「アンドリューズIUCC議長、よろしいですか! 議長!」
「通してくれ! 会見は夕方だ! それまでは何も喋らん!」
「今朝ベネズエラは、代替資源の独占的生産力を楯に、米国が中進国のUFO漁獲を不当に制限しているとの声明を発表しました。議長は米国出身ですが、このことについてどう思われますか?」
「通してくれ! ノー・コメントだ!」
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「米国を中心とするIUCCの主要理事国が、事実上、すでに捕UFO業から撤退していることもあって、IUCC加盟国代表らの間では、理事国はすでに捕UFO国への求心力を失っているとの見方が支配的です。二週間の会期のあいだに意見調整が進まなければ、メキシコをはじめ、IUCC加盟国の大量脱退もありうると予想されています。米国および豪州は、各国に対し、UFO資源に対するいかなる国のいかなる優先的利益も認められないとの主張を繰り返していますが、各国の反応はかんばしくありません。正午のニュースは、以上です」
♪パーパッパラー!




