純白
すみません、今日短めです。
侍女たちに純白のドレスを着せてもらいながら、ふうっと息を吐く。そのまま、今度は化粧を施される。
鏡に映った自分はいつもと同じように表情は無い。だが、その髪色はいつもと違っていた。
オレンジ色、本来の髪の色だ。
高く結えてある髪を少し摘んでみる。
「おかしいところはないだろうか?」
「えぇ、いつも以上にお美しいです」
にっこりと嬉しそうに微笑んだラルーシィに、少しだけ笑い出しそうになる。矢張りこの髪色は、ランタナの言った通り彼女以外には白く見えているらしい。
この色は嫌いだったが、こうして久々に見るとそんなに嫌と感じないから不思議だ。
そんなことを思っていると、扉が開き侍女が陛下の来訪を告げた。
「アメリア、用意はできているか?」
「はい、出来ていますが、どうなさいました?」
「どうって、もうすぐパーティーの時間だから迎えに来たのだが」
私はラルーシィと目を合わせて、思わず笑ってしまった。建国記念日のパーティーで、陛下が迎えに来てくれたことなんて一度もない。毎年、私が陛下の部屋に行くと、不機嫌そうに一緒に会場へ入るのだ。
「なんだ、何を二人で楽しそうにしているのだ? 我も仲間に入れろ」
「いえ、陛下が迎えに来てくださったことが嬉しくて」
「‥‥‥矢張り迎えに来て正解だった。こんなに愛らしい君をひとりで歩かせては、何処かへ攫われてしまいそうだ」
「全く‥‥‥」
「今日は一段と美しいよ、アメリア」
「陛下も素敵です」
「ありがとう」
純白の正装に身を包んだランタナは、お世辞抜きに美しかった。
「さて、ずっとこうしていたいが、そろそろ向かうとするか」
その言葉で、私とランタナはパーティー会場へと向かった。陛下の隣を歩きながら、ふうっと息を整える。
絶対に失敗しないようにしなくては。
今日のパーティーは、隣国の王太子とその妃も来ている。粗相のないようにしないと。そう思えば思うほど不安になる。
もう一度息を整えた時、左手を優しく包まれた。
「大丈夫だ、全て上手くいく」
「すみません。私がしっかりしないといけないのに」
「そんなに気負う必要はない。二人なら、どんな問題も乗り越えられる。そうだろう?」
悪戯っぽい笑みだった。
「‥‥‥ありがとうございます」
「ふふっ‥‥‥素直なところもかわいいよぉ。アメリアちゃん」
後ろに控える侍女たちに聞こえないように、耳元で囁かれた言葉は、あまりにもいつものランタナと変わりなさすぎて、笑顔になってしまう。
いつのまにか、緊張は何処かへ行ってしまった。
いよいよパーティーの始まりです。




