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こほうぎこなたはかく語りき  作者: フリードリヒ・ハラヘルム・タダノバカ
真五章 日本名作文学おちゃらけ全集
91/213

ださいおさむ『社用』

 軽トラックで、脱輪なさった、お母さまが、「あら」と声を、お上げになったので、私は、運転席のお母さまのほうを、見た。社用の、軽トラックは、左後ろのタイヤが、見事にドブにはまって、空回りしている。

「どうしましょう、こなたさん。ドブにはまってしまいました」

 お母さまは、そうおっしゃいながら、慌てなさったご様子もなく、玉蜀黍コーンスゥプの缶詰めを、お口にお運びになると、ゴクゴクと喉に流し込まれ、プハァと息を吐かれた。私は答えて、こう云った。

「ださい」

「え?」

「いえ。ださいおさむ先生の作品は、素敵ですわよね」

「そんなことよりも、これを、なんとかしないと」

 ようやく慌てる素振りを、お見せになった、お母さまに、私は、スマホを、取り出して、見せた。

「ロードサービスをお呼びいたしますわ」

「でも、そんなものにらいてもらっては。お、おたかしいんでしょう?」

ロハですわ。だって、サービスですもの」

「まさか。そんな。ロハでそんなおつかまつをされて、チョけは、おありに、なるのかし、ら?」

「そういうものなんですってば」

「それに。コンるわ。だって、社用車やしろもちコなんですもの。パパに。社長やしろおさに。られたら。られるわ」

 お母さまは、遂に、ひどく、お慌てになりはじめ、それはもう、見ていられないほどに、無様で、惨めで、不格好で、私は、云ってあげなくては、ならないと、思ってしまって、つい、こう、云って、しまっ、た、の、で、ございま、す。

「お母さま」

「はい?」

「運転手、失格。」

ガーン


 津軽の冬は、寒い。



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― 新着の感想 ―
[良い点] wwwwww中々にお上手♪ オチがお見事!
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