AIにこほうぎどなたを演じてもらってみた
彼女の名前はこほうぎどなた。
こほうぎが名字で、どなたが名前である。
彼女は言った。
「ところで私はどなた?」(ここからAI↓)
「それはこちらの台詞だ」と僕は答えた。
「なるほどね」と彼女は納得した。「じゃあ私はどなた?」
「それも僕の台詞だよ」
「ふむ」と彼女は言った。「じゃあこうしましょう。私はあなたに質問するから、あなたは私に質問してちょうだい。そうすれば私たちはお互いのことをもっとよく知れるわ」
「君の名前はなんですか?」
「あなたの名前はなんですか?」と彼女が聞き返した。
「僕の名は阿刀田高です」
「私の名は阿刀田高です」と彼女が言った。
「では次の質問です。あなたの職業は何ですか?」
「私の職業は小説家です」
「では最後の質問です。私の好きなものは何でしょう?」
「君の好きな食べ物はなんですか?」
「お寿司よ」と彼女が嬉しそうな声で言った。
「僕も好きだ」と僕は言った。
「あら奇遇ね。私たち気が合うみたい」と彼女が笑った。
「うん、確かに」と僕も同意した。
「ねえ、またどこかへ遊びに行きましょうよ」と彼女が提案してきた。
「いいよ」と僕は了承した。
「今度はどこへ行きたい? 遊園地か映画かショッピングか……」
「遊園地かな」と僕は答える。
「わかったわ。じゃあ来週の日曜日、午前十一時に駅前で待ち合わせしましょ。忘れないでね」
「ああ、絶対に覚えておくよ」
こうして僕らは次の約束をして別れた。
その日の夜、ベッドの中で僕は考えた。なぜ彼女とこんなことになったのか。そして彼女の目的は一体なんなのか。しかしいくら考えてみても、やはり何も思い浮かばなかった。
それから一週間後、再び彼女と出会った。
前回と同じ喫茶店だった。そこで彼女はアイスコーヒーを飲んでいた。
僕の姿を見つけると手を振りながら立ち上がり、笑顔を浮かべて近づいてきた。
「ごきげんよう」と彼女が挨拶をした。
「こんにちは」と僕も返事をする。
すると彼女は僕の向かい側の席に座って言った。
「ねえ、今日は何をしようかしら?」
「君は行きたいところはないのかい?」と僕が尋ねると、彼女は首を横に振って答えた。
「特にないわ」
「それなら映画でも見に行くかい?」
「ええ、いいわよ」と言って彼女は微笑んだ。
映画館に着くまでのあいだ、僕らは他愛のない会話を楽しんだ。
上映中、隣にいる彼女はポップコーンを食べていた。どうやらそれが好物らしい。僕はそんな彼女を横目で観察しながらスクリーンを見つめ続けた。
やがて本編が終了し、スタッフロールが流れ始めた。そして最後に監督の名前が映し出されると、彼女が声を上げた。
「あっ! この人知ってる!」
「どれのことだい?」
「ほら、『あなたの隣に』の監督さんよ」
「ああ、あの恋愛映画の」
「私この映画大好きなのよね」
「そういえば僕も好きかもしれない」
「あら本当? 嬉しいなぁ」
「どうして?」
「だって自分の作ったものを好きな人が一人でもいるということは、とても幸せなことじゃない?」
「そうだね」
「それに私はあなたに好かれたいもの」
「……」
「ねえ、もしよかったら今度一緒に――」
そこまで言いかけたところで、突然、場内の照明がついた。
いつの間にか周りには誰もいなかった。観客は皆、立ち上がって出口へと向かっている。僕たちだけが取り残されてしまったようだ。
彼女は残念そうな表情を浮かべて立ち上がった。
「仕方がないわね。今日のところはこれくらいにしておきましょう」
「……なんの話だい?」と僕は尋ねた。
「なんでもないわよ」と彼女は言った。「じゃあね、また会いましょう」
そうして彼女は去っていった。
その後、僕は家に帰る途中にある書店に立ち寄り、一冊の小説を買った。それは『あなたの隣に』という題名の作品だ。僕は家に帰ってからすぐに読み始め、最後まで一気に読んでしまった。それは主人公の女性が隣の男性に対して恋心を抱く物語である。主人公は男性が他の女性と親しくしている姿を見て嫉妬したり、自分が相手にされていないのではないかと不安になったりする。しかしそれでも主人公は彼のことを想い続ける。そして最後は結ばれる。僕はこの作品を読んで、自分の中にある感情の正体を知ったような気がした。
それからというもの、僕は毎日のように彼女と一緒に過ごした。彼女の好きな場所へ行き、彼女の好きな食べ物を食べる。時には二人で並んで歩き、時には手を繋いで歩く。僕は彼女と一緒の時間を過ごすうちに、次第に彼女に好意を抱き始めていた。しかし一方で、僕はあることにも気づきはじめていた。それは彼女が僕を通して誰か別の人物を見ているということだ。その相手はおそらく僕ではない。
ある日、僕はそのことを彼女に尋ねてみた。すると彼女は笑って言った。
「あら、そんなこと言うなんて、まるで私があなたのことを騙してるみたいじゃない」
「違うのかい?」
「もちろんよ。私の気持ちは本物よ」と彼女は言った。
「じゃあ誰を見てるんだい?」
「さあて、誰でしょうね」と彼女は言って微笑んだ。
結局、僕は彼女が見ている人物が誰なのかわからなかった。
僕は思わず呟いた。
「どなた?」
『AIのべりすと』を使用しました