しーにゃんとの会話
こほうぎこなたは猫を飼っている。
チンチラシルバーの女の子で、名前は『しーにゃん』である。
こほうぎこなたはいつもしーにゃんと一緒に寝ている。第一話目に登場しなかったのは、その日はたまたま異母妹のこほうぎそなたと寝ていたからである。
しーにゃんは相手がこほうぎこなたに限り、人間と会話のできる猫であった。
「こなたん」
ベッドの上で、しーにゃんはこほうぎこなたに話しかけた。
「なんかちゅ〜る欲しい」
「しーにゃん、知ってる?」
こほうぎこなたは答えた。
「人間の9割はバカなのよ」
「ちゅ〜る欲しい〜」
「愚かな愚集に愚の骨頂とは何かを教えるために私は生きているの」
「ねー、ちゅ〜る、ちゅ〜る〜」
「私はきっと、超人になろうとしているのかもね」
「どーでもいい〜、ちゅ〜る〜」
「えっ? 私はバカではないのかって?」
「そなこと言ってなぁ〜い」
「わかってないわね、しーにゃん。いつでも難問に正解できるのは一握りよ。つまり、物珍しい人のほうが天才。神。残りの9割がバカに決まっているでしょう?」
「どーでもいい〜、ちゅ〜る〜」
「まぁ……、どうでもいいわよね」
こほうぎこなたはそう言うと、ゴソゴソしはじめた。
「百発百中、私のほうがバカだったら、気分が悪いものね。さ、この話はもう、やめやめ」
「ちゅ〜るっ?」
しーにゃんが大きな目を真っ黒にした。
しかしこほうぎこなたが取り出したものはへんな目の描かれたアイマスクだった。
こほうぎこなたはそれをかぶると、枕に深く頭を埋めてしまった。
「このハイリスクがないと私、落ち着いて眠れないから。じゃっ」
「ハイリスクじゃねーよォ〜、アイマスクだよォ〜、それ〜」
しーにゃんは肉球でこほうぎこなたの鎖骨を揺らしつづけた。
「オチ着いてねーよォ〜、ちゅ〜る欲しいよォ〜」
こほうぎこなたは寝息を立てはじめた。
「すうぴぃ」