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こほうぎこなたはかく語りき  作者: フリードリヒ・ハラヘルム・タダノバカ
真三章 名作古典SF全集
85/213

1991年宇宙への旅

 1991年にはさすがに人類は宇宙旅行が可能になっていて、庶民でも奮発すれば青い地球を宇宙空間から見ることが出来ているに違いない。

 そんなアーサー・クェントン卿の思惑は見事に外れていた。

 1951年からタイムマシンに乗ってやって来たアーサーは驚くべきものを目にすることになる。

 1991年の地球は、ノストラダムスの大予言より10年以上早く滅びており、人間は猿に退化していたのだ。


 アーサー・クェントン卿は唇を震わせながら、呟いた。

「これは……チャーン……チャーン……チャーン……」


 ダラーッ!


 思わずRシュトラウスの『ツァラトゥストラはかく語りき』のイントロを口ずさんでしまったのだ。



 猿の三姉妹が会話していた。


こ「なんか来る」

そ「空から来る」

ど「どなたが来るの?」



 宇宙を旅してきた黒くてぶっといその物体は、ゆっくりと地上に降りて来ると、地面に音もなく突き刺さった。


「これは……!」

 アーサー・クェントン卿が声を上げる。

「モノリスだ!」



 猿の三姉妹がそれを聞きつけて、言った。


こ「なんで名前みんまえってんの?」

そ「やらせくさい」

ど「どなたからやらされてるの?」



 そして猿たちはモノリスを神として拝みはじめる。

 やがて2022年になり、こほうぎこなたが『しんはしんだ』と口にするまで、黒くてぶっといそれは、御神体として生殖器崇拝の神社で大切に扱われたのである。



 2022年現在、人々は忘れている。


 1991年には一度、自分らが猿に退化していたことを。




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[一言] さよなら人類
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