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1988
スシャーッ
透明な筒を通って、書類が送られてきた。
コナタがデスクワークから目を上げ、書類を筒の中から受け取る。
開いて読んで、激怒した。
「あたしの名前はこほうぎコナタよ! 五宝木コナタなんかじゃないわ!」
そして書類をクシャクシャに丸め、床に叩きつけた。
「管理社会に管理なんかされてたまるもんですか!」
立ち上がると、職場放棄してピザを食べに行った。
ピザ屋さんの中には小さな電車が走っていた。
くるくる回りながら、その背にピザを乗せて運んでいる。
「サラミとモッツァレラてんこ盛りのください」
そう言って注文したが、人間の店員は誰もいなかった。
よく見ると券売機が置いてあり、それで食券を買うと自動で厨房に注文が入り、電車がピザを運んで来てくれるシステムのようだ。
「電車なんかにピザを運ばれてたまるもんですか!」
コナタは電車を踵落としで破壊した。
警察が駆けつけて来た。
みんなロボコップだった。
1988年とはそういう時代だったのである。