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怪力サムくん
こほうぎこなたが町を通りかかると、緑色の巨人が次々と町人を殴り倒していた。
「これは何をしているの?」
こほうぎこなたが聞くと、巨人がその声に反応して殴りかかってきた。
「おもしれぇツラしてやがんな」
そう言うとこほうぎこなたは立体機動を発動し、カッターナイフのようなもので巨人の頸の後ろを切った。
「痛い! 何するの!?」
巨人が子供のような声を出して痛がる。
「僕は怪力サムくん。何も悪いことしてないのに……」
「ごめんね、サムくん」
こほうぎこなたはサムくんの頭をナデナデした。
「あなたが悪いものに見えたのよ」
サムくんはこほうぎこなたを捕まえると、首の骨をへし折り、ムシャムシャと食べはじめた。
「第一印象は大事ね」
こほうぎこなたはこう言った。
その後のこほうぎこなたのことを知る者はいない。
(完)