こほうぎの次女そなたの逆襲
こほうぎ家の次女、こほうぎそなたは一家で唯一、ふつうの女の子である。
父オブロンは貴族の王になるのが夢。
母ドリルは小学校の国語教師で子供たちに誤読漢字を教えている。
姉のこなたは世界征服を目論む主人公であるし。
妹のどなたには人格がない。
そして次女そなたはアクの強すぎる他の家族と比べると、どこにでもいる『ふつうの女の子』であった。
しかし、こほうぎ家の中では彼女は異端である。
ことあるごとに『おかしな子』扱いされ、『どうにかふつうに導いてやらなければ』と心配されている。
そろそろ精神病院に送られそうな雰囲気だ。
彼女はいつも、自分の『ふつうでなさ』を家族から思い知らされ、自室のベッドに突っ伏して泣いていた。
ある日、そなたはネットの知恵袋に悩みをぶちまけた。
『家族の中で浮いています。なんで私はこんなにダメなんだろう』みたいなことを、書き連ねた。
王子さまというHNの15歳の男の子から、こんな回答がついた。
『あなたはダメなんかじゃない。他の家族の方のほうがおかしいです』
そなたは呟いた。
「自分のことを王子さまだなんて……、このひと頭、おかしいの? それともやっぱり、パパみたいな常識人なの?」
そこへ父のオブロンが入ってきて、言った。
「ネットは検閲しているぞ。おまえは私に管理されている。何しろ私は貴族の王だからな」
そなたはベッドに突っ伏して、また泣き出してしまった。
「何が正しいのか……、やっぱりわからない!」