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こほうぎこなたはかく語りき  作者: フリードリヒ・ハラヘルム・タダノバカ
新6章 世界名作文学大全集
53/213

変身!

 ある朝、コホオーギ・コナタが気がかりなユメから目覚めると、かわいい虫さんになっていた。


「かわいい!」

 鏡を見るなり呟いた。

「こんなかわいい虫さんがこのにいたなんて!」


 そこへ妹のコホオーギ・ソナタがノックもせずに入って来た。


「お姉ちゃん、朝ごはんだよ」


 コナタが振り返る。

 ソナタがそれを見る。

 何も言わずにソナタは泡を吹いた。伐採された木のようにその場に倒れる。


失礼うしふだな! こんなかわいい虫さんを見て失神うしがみするなんて!」



 食卓では下宿人の金持ちの息子が2人、札束で父の頬をぴしぴし叩きながら豪勢な朝ごはんを食べていた。

 そこへコナタがうぞうぞと這いながら出て行く。


「見て見て! かわいい虫さんだよ」


 そう言いながらコナタが姿を見せると、2人の金持ちの息子の下宿人は、父に聞いた。

「ペットですか?」

「違います」

「じゃあ不衛生ですか?」

「そうですね」

「こんな虫が出る館だなんて知らなかった! ラーメンの中に親指が入ってるほうがまだましだ!」

 そう言って2人とも、激怒しながら、2年間契約の違約金をきちんと払って退去して行ってしまった。


「なんで……?」

 コナタは呆然とした。

「あたし……かわいくない……?」


「どこから入り込んだ! この巨大毒虫めが!」

 父がそう言いながら二十世紀梨を思いきり投げつける。


 華麗にそれをキャッチすると、それをシャクリと齧りながら、かわいく2つに割れたしっぽをフリフリしながら、コナタは表へと繰り出した。


「見てなさい。絶対に、にあたしがかわいいことをらしめてやる!」


 時は2050年。山陰新幹線がようやく開通し、新たな時代が幕を開ける直前のことであった。


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― 新着の感想 ―
[一言] 電車ってイモムシっぽいよね
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