狭き肛門
力を尽くして狭き肛門をぶち破れ (トイレの福音書第五節第一章より)
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「コナタさん、結婚して下さい」
花束を捧げ、ジェロームは求婚した。
「おっけー☆」
コナタはペロッと舌を出し、ウィンクしながら快諾した。
ジェロームは嬉しさのあまり、コナタに背を向けると、だだーっ!と駆け出した。
そのまま彼の足は空気の階段を蹴り、どんどん天国へと昇って行く。
「こんな気分、初めてさ!」
ジェロームは誰も聞いていないのに言った。
「天にも昇る心地って、本当に天に昇って行っちゃうんだな!」
天から舞い戻ると、ジェロームは再びコナタに会いに行った。
「ねえ、コナタ! 結婚式はいつにする? ハワイでする?」
「御免なさい、ジェロームさん」
コナタの様子が変わっていた。
「あたし……、やっぱりあなたとは結婚できない」
「なぜだ!?」
ジェロームは声を上げた。
「さっき『おっけー☆』って言ったばかりじゃないか! 早速マリッジブルーかよ!?」
よく見るとコナタは洋式便座に座り、きばっていた。
顔が真っ赤だ。ぷるぷる震えている。
「きえええーーーっ!」
奇声を発した。
「出ろやーーーっ! ウンコ」
ジェロームは諦めた。
コナタは今、狭き肛門をぶち破るために、忙しいのだ。
結婚どころではないのだ。