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こほうぎこなたはかく語りき  作者: フリードリヒ・ハラヘルム・タダノバカ
第二章 ときめきジェノサイド
5/213

ツッコミ賢人

 僕の名前は土込つちこみ賢人けんと。何の特徴も特にない、クラスの中でも目立たない、平均的男子だ。


 僕はクラスに気になる女子がいる。あっ! そ、そういう意味での『気になる』じゃないんだからね!

 彼女は単純に、僕の性癖をくすぐるんだ。あっ! せ、性癖っていっても、そっちの意味じゃないんだからね!


 彼女の名前は『五宝木こほうぎこなた』。学校1……いや、間違いなく日本一の『言い間違い女王』だ。


 僕はいつでも彼女にツッコみたくてしょうがないんだ。


 ……。


 あっ! 決して変な意味でじゃないからね!






「おはよう、五宝木こほうぎさん」


 朝、教室に入って来た彼女に僕は声を掛けた。


 彼女は猫耳みたいな金髪をキラキラ輝かせながら、怪訝そうな顔をして言った。

「誰?」


「いやだなあ。僕ですよ、僕。ツッコミキャラの土込つちこみ土込つちこみ賢人けんとですよ。ひどいなあ、いくら地味を絵に描いたようなメガネ男子だからって、クラスメイトの顔と名前ぐらい覚えてくださいよ……」


「そうじゃなくて」

 五宝木こほうぎさんは、こう言った。

五宝木いつぽんぎさんって誰?」


「君だろおおおお!!」

 僕は思わずツッコんだ。

「それに読み方は『いつぽんぎ』じゃなくて『こほうぎ』ぃぃぃイ!」


「私の名前はこほうぎこなた」

 彼女は何も疑わない無表情で、言った。

「全部ひらがなだわ」


 まさか……。


 まさか彼女は知らないというのであろうか? 自分の名前に漢字があるということに?

 一応自分を疑って彼女の鞄を見ると、かわいく揺れるネームプレートに『五宝木こなた』と書いてあった。


「人間は」

 彼女は言った。

「バカであるべきなのだ」


「そんなことないよ!」

 僕は彼女を弁護した。

「君はバカなんかじゃない!」


けんこくきねんび」


「建国記念日?」


「あなたの名前」


「僕は土込つちこみ賢人けんとだってば! 賢しか合ってないよ!」


「賢……賢者モード」


「女子高生がそういうこと言うのやめて!」


「あっ! 遠藤賢司さん」


「どこどこ? ……って、賢かよ! 賢からの連想かよ!?」


「何を言ってるの?」


「君がだよ!」


「1+1がいつも3だとは限らないわ」


「2だよ! あるいは田んぼの田!」


「もっと自由に暴れたっていいじゃない!」


「既に自由すぎるよ! 何言ってんだ!」


 こうして僕と五宝木さんは、付き合うこととなったのだった。



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― 新着の感想 ―
[一言] 駄目だぁ……レベルが高すぎて、ついていけねぇや (褒めてる) 毎話毎話、色んな意味でヤバすぎですw
[一言] これは二人の間では…飽きないでしょうね(*^。^*) 周りは … でしょうけど(笑)
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