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はっきりしてよ2
女性の後から黒スーツの男2人もやって来て、挨拶をした。
「井上です」
「上浜です」
「私の名前は加藤よ。よろしくね、こほうぎこなたさん」
「それで」
こほうぎこなたは用心しながら、革の胸当てを装着しながら、ショートソードを片手にしながら、聞いた。
「あたしに何の用?」
「それは言えないな」
「それは言えないけど」
「それを言えないような用があるの」
「はっきりしてよ!」
こほうぎこなたが吠えた。
「あなたの名前は加藤なの? 加藤なの? それとも加藤なの?」
加藤は答えた。
「くゎとうとかじゃーようとかいう名前はないわ」
「それじゃわかんない! はっきりしてよ!」
こほうぎこなたが地団駄を踏んだ。
「そっちの人の名前は井上なの? 井上なの? それとも井上?」
井上は答えた。
「どれでもなく、フツーです」
「フツーって何よ! はっきりしてよ!」
こほうぎこなたは発狂しそうに身悶えた。
「こっちの人の名前は上浜なの? 上浜なの? それとも上浜なの?」
上浜はにっこり答えた。
「あがはまです」
こほうぎこなたは微笑んだ。
「スッキリしたわ!」