表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こほうぎこなたはかく語りき  作者: フリードリヒ・ハラヘルム・タダノバカ
新4章 メルヘン
41/213

眠れる森野美女

 昔々、今から三ヶ月ほど前のお話です。


 あるところに森野もりの美女みめという名のOLがおりました。


 それはそれは、名前ほどには美しくもなく、平凡な30歳の疲れた顔をした女でした。


 疲れを取るにはとにかく睡眠です。


 なのに、森野は毎晩毎晩、不眠症に苦しんでおりました。


「ああ……、どこからか王子様が現れて、あたしを眠らせてはくれないかしら」


 そんなたわけたことを思っていたある日、こほうぎこなたという名の魔女に出会いました。


 場所は電器店の店内。マッサージチェアのコーナーでした。


「おねえさんはみんれなくてしんでいるのだね?」

 こほうぎこなたは魔女の口調で言いました。

 ちなみに『おねえさん』は『おまえさん』の発音で読んでほしい。


 森野がうなずくと、こほうぎこなたはヒッヒッヒと笑い、テレビショッピングを始めました。


「夜、みんれないとおのよみのあなた。このチョー・スリーパーがあなたをみんりの世界にゆざなってくれます。

使いほう簡単じぇんだん。いつもお使いのマットレスや布団ぶっとんじょうに敷くだけ!

魔法のりきがあなたを心地しんぢよいみんりにゆざなってくれることでしょう。

通常どんちゃん価格39万6千円のところ、今ならなんと! 9割引きの12万6千5百9十円!

この機械を逃す手は……」


「買った!」

 森野はまんまとそれを買ったのです。





 チョー・スリーパーの効果は絶大なものでした。


 さすがは毎日のようにテレビショッピングで紹介されているだけのことはあります。


 森野はたやすく安眠に入ると、それから3年間、起きませんでした。


 アパートの大家さんが心配して(森野の心配ではなく、家賃の心配でした)警察を呼びました。

 警察はベッドですやすや眠る森野を確認すると、何事もなしと言って帰って行きました。



 それから3年後──


 王子様がやって来ました。


 しかし、よく見ると……


 それは玉子たまご様でした。


 玉子様は王子製紙で作られたティッシュペーパーを1枚、引き抜くと……


 森野もりの美女みめの鼻に突っ込みました。


「お前にはこれがお似合いだ。喰らえ!」


 鼻にそんなものを突っ込まれたら、さすがに起きるしかありませんでした。






 そして森野は仕方なく起き、会社に行きましたが、


 とっくに辞職扱いにされていました。







 こうして12万6千5百9十円を手に入れたこほうぎこなたは幸せになったのです。


 12万6千5百9十円を使い切るのは1日もあればじゅうぶんでした。




 すべてめでたし、めでたし。


ごじはありません(*´ω`*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] jiandanとかtongchangとか、やっぱりこほうぎこなたの言い間違いにはチャイナの香りが…!
[一言] ヒデェwwwwww
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ