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チェキヶ原の戦い
令和6年12月、冬。
ここチェキヶ原古戦場では、下位の武田テイヘンと、こほうぎこなたの最終決戦の火蓋が切って落とされて、始まろうとしていた。
「なんか難しいお話ね」
馬に乗り、ハンドルを操作しながら、こほうぎこなたは言った。
こほうぎこなたのママがこなたに忠言を捧げる。
「あまり難しいことは考えないでね。あなたはすぐに頭から煙を噴くから」
「大丈夫だよ、ママ。これはどちらが馬鹿かを決定する戦いなんだから」
ハハハハハ! と勝鬨の声を上げながら、親子二人きりで歩いて行った。
その頃、敵将・下位の國の武田テイヘンは、戦慄していた。
「まさか……。この儂に勝るバカがこの世におるとは……。こほうぎのこなた、恐るべし!」
まだ相見えてもいない敵に戦慄しているのは、武田もやはり馬鹿だからなのであった。
「今こそどちらが天下一のバカかを決する時! 」
他のすべての人にはどちらがどうでもどーでもよかった。