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こほうぎこなたはかく語りき  作者: フリードリヒ・ハラヘルム・タダノバカ
最終章 世間知らずのお嬢様
25/213

白い花 バカの花、咲いた


 あたしは毎日違う友達と帰る。


 家が逆方向でも無理やり帰る。


 それが趣味だからである。



「こほうぎさん、一緒に帰らない?」



 今日は変人として有名なこほうぎこなたさんを誘ってみた。ちなみに会話をするのはこれが初めてだ。


「あら、最音痴さいおんちさん。私とそんなに帰りたいのかしら?」

 こほうぎさんはあたしの気持ちを嘲笑うように言った。

「この私と? 家に? 帰宅きむたく? フフフ……」


 ちなみにあたしの名前は最音痴さいおんちではなく西園寺さいおんじだが、気にしない。わざと『くさいうんち』と読み間違える谷くんよりはよっぽどましだからだ。



「ええ。ご一緒に帰ってみたいんですの」

 あたしは負けじと変人のフリをする。

「よろしくって?」


「いいけど、私、帰りがけにフロアーショップに寄らないと……」


「あら! 付き合いますわ!」

 あたしは付き合いのいい子のフリをした。

「どんな床を購入なさるのかしら? 見るのが楽しみ。フフフ……」


 こほうぎさんはフラワーショップに入って行った。


「ここが……フロアーショップですの?」


「ええ。ここがフロアーショップ」


「えーと……」


 あたしが戸惑っていると、こほうぎさんがお店のおじさんに声をかけた。


「バカの花、ありますか?」


「いつものですね?」


 おじさんは白いバラを取り出し、こほうぎさんに求婚した。


 ダメだ、あたし。


 こんなにも知らないことがあったんだ。





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