キャンプファイヤー
キャンプファイヤーを
こなっちゃんと並んで
体育座りしながら眺めてた。
2人とも無言だった。
パチパチと火が爆ぜる音と
遠くで他の子たちが会話しているのが
大きな声や音なのに、静かに聞こえていた。
こなっちゃんは今、何を考えているんだろう?
こんなに近くにいるのに、わからない。
あたしと同じように
『あなた』のことを考えているんだろうか?
あたしが今、何を考えているんだろうかって
そんなことを考えているんだろうか?
「ねえ、わりばし使う?」
ふいに話しかけてきた。
「ううん? 今、わりばし使う場面じゃないから」
あたしは答えた。
なぜ急にわりばしを?
やっぱり他人の頭の中はわからない。
「だってわりばしなかったら炎の中に突っ込めないでしょ」
「なんでわりばしを炎に突っ込む必要があるの?」
「知らないの?」
こなっちゃんのバカにするような表情が炎に照らされる。
「遺骨はわりばしで拾うもんだよ?」
「誰の葬式だよ」
「私たちの青春の」
感動的でなければいけないはずのキャンプファイヤーの炎が死の匂いを纏ったように見えた。
あたしはこなっちゃんを理解した。
理解してはいけない人間なのだと理解した。
それでも彼女はあたしの親友として
あたしの歴史にその名を刻み続けるのだ。
こほうぎこなた、と。