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殺気(サツキ)
「殺気が私を殺そうとしている。充分に気をつけなければ」と、こなっちゃんが言った。
「いや、本当に殺す気はないから。っていうか勝手に他人の地の文を読まないでよ」
「と、殺気が言った。私はそれを容易く信用してはいけない。隙を見せたら殺られる」
……こなっちゃんは見ての通り、とても絡みにくいが、数少ないあたしの友達だ。っていうか、学校内にあたしの友達は彼女しかいない。
「だからそれ、誰に向かって言ってるのよ? っていうか、絡みにくいとかひどい」
本当に心のままにしてやろうか?
「でも……、そうだね。私、うざいかもしれないね。もっと愛されるような友達になりたい」
急にかわいらしくなった。何を考えている?
「こうやってしおらしくして見せれば彼女は隙を見せるだろう。あたしは心の中でほくそえんだ。その隙をついて、後ろ手に持った割りばしで…」
「割り箸で? 何をする気!?」
「と、彼女は慄いた」
「『慄いた』でしょ!」
「えっ? 小野妹子がいた? どこによ?」
「もうあんたとはやっとられんわ、バシッ!」
「アハハ」
「ウフフ」
青春って、いいな♡