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青春の西瓜Ⅱ
「あれっ!? ちょっと待って?」
「どうしたの? そなっちゃん」
「どなた!?」
「そなたのことを『そなっちゃん』って呼ぶのはお母さんだけよ、どなた」
「あなたは!? あなたのぶんはないの?」
「あなた? ……そういえばそんな子いたわね。産んだ記憶はないけれど」
「どなた!?」
「忘れたのかよ、どなた。そなたとおまえの間に男の子いたろ」
「じゃ、あなたに一切れ残しとこうよ。パパはどうでもいいけどあなたは大事だもん。わたしのかわいい弟だもん」
「そなっちゃんは優しいわね。さすがはお母さんがお腹を炒めて産んだ娘よ」
「でもアイツ、まだキャラ立ってないからなー」
「ど、どなた!?」
「とりあえず分け方決まったから食べようよ」
「ええ、そうね」
「いっただっきまーす」
「ど、な、たー?」
「……」
「……」
「……」
「……」
「おいしいね」
「おいしい」
「ほんと、おいしい」
「おいしー」
(続く)