青春の西瓜
こほうぎの母ドリルが娘たちを呼んだ。
「みんなー。スイカを分け分けするわよ。いらっしゃーい」
「わあっ! おおきなスイカ!」
「ほんとだね、お姉ちゃん。これだけおっきぃと、等分しなくても大丈夫そうだね」
「大丈夫とはどういうことかしら? 喧嘩にならないとでも? きっちり三等分するのよ」
「えー? いいよぉ。どうせわたし、食べきれないから」
「ちょっとお待ちなさい。母の分を忘れてるわよ? 私も食べるんだから、四等分にしなさい」
こなたが切り分けた。
どう切ったのか、西瓜は九つに分かれた。
「……これじゃ誰かが一つ多く食べることになってしまうわよ、こなた」
「チッ……。やっちまったな。誰が一個多く食べる?」
「どなた?」
「わたしは2切れでいいから、みんなで……あれっ!? そうすると7切れになっちゃうね? やっぱり誰かが一つ多くなっちゃう」
「よしっ。ジャンケンすっか! 勝つのは主人公のあたしだからねっ!」
「ど、どなた?」
「私も負けないわよ。一家を守お母さんとしての意地を見せるわ」
「お母さん大人げない……」
「ところでさっきから不思議だと思わない? あなたたち」
「確かに」
「地の文がなくても誰が喋ってるのかわかるよね、ふふ…、」
「ど、どなた?」
(続く)