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終わりなき物語
「えーと……。どこまで話したっけ?」
「この物語には終わりがありません──ってとこまでだよ」
「コロッケはもう食べたっけ?」
「食べた。とっくに食べた」
「じゃあ喉が渇いただろう?」
「渇いた。砂漠のように渇いた」
「ところであんた誰?」
「おまえこそ誰だよ?」
「どなた?」
「どなた?」
ここからこの物語は始まる。
こほうぎ家の中庭で議論をしていたカマドウマと三角定規が、物語を始めるのである。
それはまるで永遠のような物語であった。
「どなた?」
「どなた?」
「どなた?」
「どなた?」
「どなた?」
「どなた?」
「どなた?」
「どなた?」
「どなた?」
「どな