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最終回
最終回が訪ねてきた。
「どなた?」
呼鈴に応対に出たこほうぎどなたが目を瞠る。
「ど……、どなた?」
最終回は何も言わず、ただゆっくりと、家宅侵入した。
こほうぎ家の中には日常があった。
父が暖炉の前でゆったりと美少女フィギュアを製作し、母は料理をするふりをして何もせずにただ立っており、次女のそなたは男と失踪し、長男のあなたは謎に満ちており、そして長女のこなたは今日もバカであった。
「醤油、塩対応」
鼻唄を口ずさみながら左右にエノキダケのように揺れているこほうぎこなたの前に、最終回が立った。
「ソース顔〜、さんまの味〜」
それでも歌い続けるこなたの顔を、最終回が両手でがっしりと掴む。
「最終回とは突然来るものなのか……」
こほうぎこなたは、泣いた。
母が警察を呼んだ。
「もしもし? 警察ですか? 鰻丼お願いします。ええ、三つ。急げ!」
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