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こほうぎこなたはかく語りき  作者: フリードリヒ・ハラヘルム・タダノバカ
新番組 『 こほうぎこなた Z 』 
118/213

最強に腰の引けたものたち

 おれの名前は『なざほうれ まこと』。かわいい三人の娘を持つ、なざほうれ家の父親だ。


 今、おれの目の前に、顔中を汗でびっしょびしょに濡らして立っている男がいる。


 あの世界最強を謳う拳法一族『こほうぎ家』の大黒柱──そう、こいつこそがあの悪名高き『こほうぎオブロン』だ。


 今、おれに呼び止められ、そいつは何もない空白を背景に、足下を汗で水たまりのようにしている。


 フッ。噂に聞いていたより随分と臆病なやつだ。


 このおれに、拳法で勝てる自信がないのか?


『五獣』と呼ばれ、恐れられるおれ達、『こほうぎ狩り』の、その中でも間違いなく最弱の、このおれに?


「どうした? 怖いのか? 顔中、汗でびっしょびしょだぞ?」


 こほうぎオブロンは、おれを見ながら、そう言った。

 おれは顔の汗を手で拭きながら、笑ってやった。


「いや。ハハハハ! 汗でびっしょびしょなのはおまえの顔だぞ? 強がりを言うな」


「ま……まあ、とりあえず、行くぞ?」


「ど……、どこへだ?」


「いや、わかれよ。『行くぞ?』と言ったらこの場合、喧嘩の始まりを意味する……つまり、『かかって行くぞ?』『攻撃すんぞ?』という……」


「い……、痛そうだな」


「ああ……。殴られるのは痛い」


「や……、やめにするか?」


「……出来れば」


 おれたちはくるりと背を向け合うと、そのまま別方向へ歩き出した。


 騙し討ちをされるかと気になって、チラチラと振り向いてみるたび、こほうぎオブロンのほうもチラチラとこちらを覗っている。


 フッ。臆病者め。


 おれは心の中で、こほうぎオブロンに勝利した。


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― 新着の感想 ―
[良い点] パパ対決。きっとオブロンパパもおんなじ事を思ってる!(確信)
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