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こほうぎこなたはかく語りき  作者: フリードリヒ・ハラヘルム・タダノバカ
真最終章 こほうぎ一族の週末
113/213

こほうぎどなた最後の戦い

 こほうぎこなたが歌い出した。


「ぢゃー、ららーん♪」

「ぢゃぢゃっ! ぢゃーぢゃぢゃぢゃ!」

「ぢゃー、ららーん♪」


 こほうぎどなたも歌った。


「どなたなー?」


 こほうぎこなたは邪悪な目をして妹を見る。

 父も消した。母も消した。上の妹も消した。


 残る一人、この三女こほうぎどなたを消せば、世界は自分のものになる。知らんけど。


 そんなこほうぎこなたの野望など知る術もなく、こほうぎどなたは歌い続けていた。


「どーなたー」


 強敵だ、とこなたは思った。


 暖簾に腕押し、豆腐に釘……。どんな攻撃も「どなた?」の一言でぬるりとかわしてしまう妹は、こなたの天敵だとさえ思えた。


 今まで通りではいけない。


 どなたに流されないようにしなければ……。


 そこで、こなたは、どなたに聞いてみた。


「あんた、どなた?」


「どなた?」


「だから、あんたはどなた? って聞いてるのよ。わたしが誰かなんて、どうでもいいことだわ」


「どなた? どなた?」


「だからどなたはどなたよ?」


「どなた……」

 どなたは、混乱した。

「どなたはどなた? どなたって……どな、どな……」


『チャンス!』

 こほうぎこなたはまた歌いはじめた。

 さっきはレッド・ツェッペリンの『アキレス最後の戦い』のイントロのギター部分を歌ったが、今度は違う。


 もちろん、ドナ・ドナだ。




「どなどなー!?」


 こほうぎどなたの娘、こほうぎどなた?が、荷馬車に揺られて売られて行く。


「どなた?ー!? どな、どなどなどなた?ーーー!?」


 どなたは夕陽に向かって駆け出して行った。


 こうしてこほうぎどなたは終末した。





「やった……!」

 こほうぎこなたは拳を振り上げた。

「これで世界はわたしのものだ!」


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― 新着の感想 ―
[良い点] あ、連続更新♪ [気になる点] 〉豆腐に釘 「糠(ぬか)」だと思いますが作品の性格上、意図的な表現かとも思えますので此方にて。 ああ、どなた?ちゃんと、どなたちゃんまで…………どな…
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