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こほうぎこなたはかく語りき  作者: フリードリヒ・ハラヘルム・タダノバカ
真最終章 こほうぎ一族の週末
112/213

こほうぎソナタ最終楽章

 こほうぎ家の次女そなたの特技はピアノ演奏である。


 音符の詰まった技巧的な曲よりも、叙情的な曲をしっとりと聴かせることを得意としている。


 長女のこなたと二人、森を散歩していると、白いピアノが捨てられているのを見つけた。


「あら? こんなところにピアノが……」

 そう言うと、そなたは子鹿のように駆け寄った。


 それを見ながら、こなたが言った。

「すきやきコーラが飲みたいわ」


 そなたがピアノの蓋を上げ、鍵盤に指を乗せると、C3の音が森に美しく響いた。


「生きてる……! 生きてるわ、このピアノ! お姉ちゃん」


 こなたはにっこりと微笑み、答えた。

「死ねばいいのに」


 そなたは立ったまま、白いピアノでベートーヴェンの『悲愴第2楽章』をゆっくりと弾きはじめた。

 森の木の上からリスが降りてきて、聴き惚れるように並んで立った。


 こなたはそれを捕まえると、一匹ずつチタタプして食べ始めた。




 森のピアノを弾いているうちに、そなたは見知らぬ場所にいた。


「あれ……?」


 一人だった。


 周囲の森も消えており、そこは真っ白な雪原の中で、自分とピアノだけがあった。


「……お姉ちゃん?」





 こなたはリスを食べ終えると、ゲップをし、一人ほくそえんだ。


「こほうぎそなた、終末したわ」


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― 新着の感想 ―
[良い点] そなたのソナタ [気になる点] ……ちょっと悲しい奏鳴曲 [一言] 週末の葬冥曲
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