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こほうぎこなたはかく語りき  作者: フリードリヒ・ハラヘルム・タダノバカ
真九章 ニンカツ
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楓姉と僕

 病院のロビーでばったり楓姉かえでねえに会った。

 会うのは一年振りぐらいだろうか。とにかく久し振りだった。


「あら。たっくんじゃない」


 僕が離れた場所からその横顔を見つめていると、楓姉のほうから気づいて声をかけてくれた。

 相変わらず綺麗だ。

 頬にくっついた黒い髪が色っぽい。

 結婚すると聞いた時に僕の胸に空いた穴は、なんとか塞がっていた。でも、こうやって顔を見ると、やはりそれが疼く。


「どうして病院に? もしかして、肥満?」


 さすが楓姉だ。僕のことをよくわかっている。

 その通り、僕は太りすぎを抑える薬を貰いに病院に来ていた。それが貰えるのはここ、産婦人科だけなのだ。

 男が一人で来るのは恥ずかしい場所だけど、命にかかわる症状だったから、来ないわけに行かないのだ。


 その時、近くにいた金髪の女子高生が、僕に聞こえる声で言った。


「ひまだから産婦人科に来る男の子ってどうかと思う」


 ひまじゃない。何を聞き間違えてるんだこの女は。肥満だ、肥満。肥満は命にかかわる重大な病気のデパートなんだぞ。


「ひまわりだから産婦人科に来るミスター・ひまわりだったら意味わかるけどさ」


 なんだ、それは? ミスター・ひまわりって誰だ? 聞いたこともないけど流行ってるのか?


 女子高生がすっくと立ち上がり、唐突に自己紹介をしてきた。


「わたしの名前はこほうぎこなた」


 聞いてないし、どうでもいいんだが……


「隣にいるのは妹のこほうぎどなた」


 やめてくれ! 僕は大好きな楓姉とお話がした


「どなたが抱いてるのはどなたの娘のこほうぎどなた?」


 なんのことだ!?


「中学生が子供を産んではまずいから、楓姉に産み直してもらったの」


 えええ!?


「にっこり」


 そう言って楓姉が笑った。


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