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5.

「その人物は、侯爵家の子息三人だ。ベン・ブラウン、トニー・ブラウン、リック・ブラウン。このうちの誰かが、君を殺そうとしている」


 アリスは、ライアン王子の言葉に驚いた。

 その三人とは、ほとんど接点がない。

 命を狙われる理由に心当たりがなかった。


「えっと、その三人って確か、三つ子ですよね」


「ああ、そうだ。見た目も声もそっくりの三つ子。彼らのうちの誰かが、君の命を狙っている。そのことを僕が知ったのは、ブラウン侯爵の屋敷に招待された時だ。三兄弟のうちの誰かが、君の殺しを電話で依頼しているところを聞いてしまったんだ。扉越しだったから誰かは分からなかったけれど。その時は、すぐに部屋に入って誰が依頼しているか、確かめようと思ったんだ。でも扉には鍵がかかっていて、ノックしても返事がなかった。それで、屋敷の者に頼んで扉を開けてもらったんだけど、既に部屋には誰もいなかった。窓が開いていたから、そこから逃げたんだろう」


「まさか、そんなことがあったなんて……」


「それで、三人に聴取しようと思ったんだけど、まずは君を守ることを優先しようと思った。殺しは既に依頼されているからね。だから、すぐに君を呼び出した。そして、あの婚約破棄と追放宣言をした。一刻も早く、君を殺し屋の手の届かないところまで逃がすためにね。そして、事情を説明するために、僕も後を追ったんだ」


「なるほど、そういう理由があったのですね。ライアン王子、ありがとうございます。すべては、私を守るためだったのですね」


 ライアン王子が自分のことを裏切ったわけではないと分かって、アリスはほっとしていた。


「でも、僕も突然のことで、とにかく焦っていたからね。本当はもっとうまい方法があったのかもしれないけど、こんな手段しか思いつかなかったんだ」


「いえ、充分ですよ。現に私は、今生きているのですから」


「そう言ってもらえると嬉しいよ。もともと僕には追放する権限がないから、実は親父に下剤を仕込んだんだ。それで、体調を崩した親父の代わりに、僕が権力を一時的に行使できるからね」


「うわぁ、驚きました……。そこまでしていたのですか」


「とにかく、君を守るためになりふり構っていられなかったんだ。さて、問題はこれからどうするかだ」


「そうですねぇ……。どうしましょうか」


「あの三つ子の内の誰かから、命を狙われる理由に心当たりはないのかい?」


「心当たりですかぁ……」


 アリスは考えた。

 そもそも、あの三人と会ったのは、数回しかない。

 恨まれるような覚えはないのだけれど。

 最近会ったのは、いつだったかしら……。


「……あ!」


「アリス、何か思い出したのかい?」


「えっと、もしかすると、#あれ__・__#が理由かもしれません……」

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