憎まれっ子世に憚る?「憎まれ系アーティスト」についてあれこれ
あなたは出くわした事がないだろうか、「このアーティスト、世間ではボコボコに叩かれてるのになんでこんなに人気なんだろう…」って感じのアーティスト達に。
そう、この長いJ-POPの歴史の中では何故か不定期に人気と好感度が釣り合わないアーティストが登場する。
今回はそんな奇妙な境遇に置かれたアーティスト達を便宜上「憎まれ系」と呼んでただただ羅列していくことにする。どうせ異論が出てくるので先に言っておくと、これは個人の感性なのであんまりあれこれ言わないでね。
では、そんな「すごい人気なのに各方面から叩かれているアーティスト」と言われて最初に思い浮かべるアーティストは誰か?
人によって答えは様々だろうけど、僕の場合はそれはSEKAI NO OWARI、略してセカオワだ。
メンバーの壮絶な過去、悲観的すぎるバンド名、何のためにいるのか今でもイマイチよく分からないピエロのDJ、曲の前にメンバーを一眼見るだけでお腹いっぱいになりそうな情報量だ。ここまで来ると「曲がオマケ」状態になりかねんぞ。
親しみやすいメロディと初期に多かった問題提起型の歌詞、セカオワの醍醐味と言えるファンタジーな歌詞で世の小中学生らの心を一気に掴み、一時は一世を風靡したものだった。
が、そのメロディは親しみやすいがために「単純」とも受け取られ、持ち味の歌詞は「中二病」呼ばわりを受け、さらに本人の言動(「まだギター使ってるの?」という迷言はたまに今でも蒸し返される)や一部の害悪の言動(電気グルーヴを「セカオワのパクリ」とか言い始めて電気ファンに「電気グルーヴは20年前からセカオワをパクっていたのか!」と言わせた事件をまだ自分は覚えている)、あと「自分が受けたいじめや障害を商売の種にしている」といった色々間違ったマイナスイメージもあって一部のひねくれ者からはそれはもうボコボコに叩かれた。
全盛期当時僕は小学生だったのでブームにもちゃっかり乗っかってたし、当時それなりに沸いてたアンチにもそれなりに憤っていた。(YouTubeとかTwitterのアカウントを持つ方法がわからなかったので下手に反論して黒歴史を作らなかったのは不幸中の幸いだった)ただ、今振り返るとアンチの方々にもハッと気付かされる論評はあったし、当時支持していたファンの中にはちょっと「あれ?」と思わずにいられない言動を取る者がいたりしたので、一概に「アンチが悪い」とは言い切れなくなってきた。人間というものは時間さえ経てばいとも簡単に変わるものである。
それでは自分よりあと数年上の世代における憎まれ系を見てみよう。それ即ちORANGE RANGE。
2003〜6年頃に天下を取ったラップ主体のミクスチャーロックバンドであり、当時「もう絶対無理」とまで言われていた「オリジナルアルバムのダブルミリオン」を容易く達成してしまったモンスターグループだ。
こちらはどっちかというと中高生、それも割と陽キャ寄りの方々に人気で、当時のリア充たちにとってORANGE RANGEと大塚愛はマストアイテムだったようだ。
しかしながら、彼らも「合言葉は『パクろうぜ』」「この曲(当時の最新曲)は1位とっちゃダメな曲」などなどの当時パリピでウェイな学生だった彼ららしい調子に乗った発言で一気にヘイトを集め、おそらく何事もなければもう少し続いたであろうブームを結果的に縮めてしまうこととなった。
そんな彼らを扱う上で外せないのがパクリ疑惑。リトル・エヴァの往年の名曲「ロコ・モーション」を露骨にパクった「ロコローション」が作者側に訴えられてカバー曲扱いにされた騒動は、現在三十路を過ぎた人々なら結構な確率で知っているだろう。今よりももっと怖い大人が多かったインターネット界隈で彼らは親の仇のように嫌われて、このパクリ疑惑の広がりを促進されたという。
今になって、「パクリの仕方が秀逸」「なんだかんだでいい曲歌ってた」みたいに再評価の流れが見えるのが救いだろうか。
じゃあ次はBUMP OF CHICKEN。
今でこそあんな風に確固たる地位を築いたバンプではあるが、デビューから「天体観測」あたりまでの立ち位置は(多少強引ではあるが)「憎まれ系」と呼んで差し支えないものだった。
別にバンド自体が悪いわけではなくて(こっちはこっちで歌詞とか演奏技術が叩かれたりとかもしてたけど)、これはどちらかというと当時のファンの問題だった。
というのも、当時のファンの中には悪質な振る舞いをとる輩が多かったとされ、今でいう信者がライブ会場で演奏をかき消すほど叫び倒したり、他のバンドとの対バン(同じ会場で複数のバンドが交互にライブをすること)の際に前列のチケットを占有したり…といった具合だったそうで、2001年の掲示板には「バンプと対バンする」という情報が載るや否や「えぇ…」「バンプはどうでもいいけどあいつらが連れてくる客がなぁ…」みたいな反応が見られた。(一応フォローしておくと、ちゃんと楽しみにしてくれる良識のある人の方が多数派ではあった)
いつの時代も一部の害悪が全体のイメージを下げる現象に変わりはないようだ。
さらに時代を遡ってお次は松田聖子。
あまり当時を知らない自分達から見れば「伝説のアイドル」的な存在で終わるかと思われるが、実は(当時としては)かなりあざといキャラが一部(主に山口百恵のファンとされる)に不評で、更に田原俊彦とのスキャンダル(この辺はググればすぐわかるだろう)が重なり、かなり毛嫌いする層が一定数いたとされている。
全盛期を見ていたわけではないので実情は知らないけど、あんなに大物扱いされる彼女にもアンチはいたのかと思うと「世の中に『絶対』はない」と思わされる。
では一気に時代を戻して次に紹介するのはAdo。
最近になって「うっせぇわ」という曲が一気にバズったあの人だ。
これに関してはAdo氏本人というよりは「うっせぇわ」という曲の問題な気もしなくもない。というのもこの曲、かつてめいめいの場で反抗心丸出しの言動をとって黒歴史を生産した大人たちに悪い意味でグサグサ刺さるプロテストソング、つまりは元中二病の方々が「昔の古傷を抉られるイタい歌詞だ」と評して拒否反応を示している曲なのだ。
要するに今のところ憎まれているのは「うっせぇわ」という曲であって、Ado氏本人が憎まれている感じがしないのである。まぁそれはそれで良いんだけどこのせいで彼女がこの曲の一発屋で終わったり、この曲のヒットを超えられずにいつまでも「『うっせぇわ』の人」呼ばわりされる可能性はすこぶる高いと思う。僕はそこが心配だ。
あと全然関係ないけど、この曲「あなたが思うより健康です」とか言う割にはめちゃめちゃ病的な作風だよね。
最後に紹介したいのが歌い手系。
当初は歌いたい曲を自由に歌って投稿する、ただそれ以上でもそれ以下でもない存在に過ぎなかった存在だったが、いつの間にか東京ドームでライブを開くほどまでにビッグな存在になってしまった彼ら歌い手。インターネット出身の彼らがここまでの市民権を獲得したことはネット社会の浸透を象徴しているといえるだろう。
ただまぁ例によってこやつらにも憎まれ系にありがちなファンを名乗る害悪がのさばっている。それも前述の輩より遥かに質も量もえげつない。
カバー元の動画に「〇〇さんの動画から」とコメントを残す、グッズの奪い合いで傷害事件を起こす、SNS上で本人が異性に反応するとその相手側に異常な牽制をとる、などなどの奇行が見られ、挙げ句の果てには歌い手自身が事件を起こして逮捕される事案まで発生した。
もちろん才能ある歌い手は実際この世に存在するし、似たような性質を持つ憎まれ系として「声優」「アイドル」というコンテンツがあるので一概に歌い手が悪いと言えないだろうし、これからも頑張って欲しいとも思っている。ただ、ぶっちゃけ子供向け・若者向けな人が多い印象が強いので、「もう若くない」って人がわざわざ近づくようなジャンルではないかな…。
ということでいかがだっただろうか。探せばまだまだいるだろうけどこれ以上思いつかなかったしキリがないので今回はこの辺で終了することにする。
かつてはこのようにして憎まれてきた彼らではあるが、今回の例に出たセカオワやオレンジレンジは自分の軸がブレないようにやってきたことで今でも一定数のファンを持ち続けているし、バンプや松田聖子のその後の躍進は書くまでもないことだろう。
これから現れる新たな才能ある憎まれ系がどのように躍進し、どのように叩かれ、どのような道を進んでいくのか。個人的に割と期待して見ている。