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チャイナガールズ!!~スーパーカンフーハイパワーチーム~  作者: 乾ヒロキ
カオルンセングォ毒ガスパラダイス編
96/178

4-17 金龍の本気。

 


 -------N.A.Y.562年 8月16日 11時55分---------



 中国国防部を先頭にして、金龍は金色のハイヒールを鳴らしながら歩いている。


 金龍の後ろにはイェチンとファリン。


 イェチンとファリンも兵器を持っている。


 イェチンは双匕首そうひしゅと言われている、俗に言うナイフ二刀流だ。


 ファリンは、独特な形をしている子母鴛鴦鉞しぼえんおうえつという武器だ。


 あえて説明するならば、中国版メリケンサックというところか?


 その後ろには国防部がもう二人。


 バッサリ開いているチャイナドレスの背中からゴールドドラゴンタトゥーを覗かせている。


 国防部二人は見つめながら、ひそひそ話をさせているのだ。


 その話の内容は、イェチンとファリン二人にとっては気持ちの良い話ではなかった。


「あんなにド派手な人がどうして?」や「あんなカッコウでまともに戦えるのだろうか?」


 などなど、上司をバカにされているような気がして、二人とも眉をしかめて我慢していた。


 金龍は突如足を止めた。


「全員、止まれ!!」


 5人は金龍の号令通り、足を止めた。


「どういうこと? パーティカルロイドを利用した、ハッキング? あら、やるじゃない」


 金龍は胸を突き出すように背筋を伸ばした。


「皆、よく聞いてください。銀龍からの伝達です。服部半蔵は中国国防部や我々のバトルドレスをハッキングして操れるそうです。

しかも、相手の急所を狙おうが、首をはねようが、動いているそうです」


 各部隊のオープンチャンネルの通信が入り、耳の内側から真面目そうな男の声が聞こえる。


 ヨウの声だ。


 彼は現在上側の方を警戒してもらいつつ、服部半蔵らしき情報を追ってもらっているのだ。


「すみません、私の判断ミスです。

本当は鷺沼を捕まえるにあたって、ノーマルドレスで行こうかと思いましたが、服部半蔵は強敵です。隊員たちも必ず精神的な不安に駆られて、もっと状況判断に支障がきてしまうため、バトルドレスを着さざる負えませんでした」


 ファリンがサングラスをしたまま、上目遣いで答える。


「つまり、恐怖心をカバーするために、バトルドレスにしたの?」


「端的に言えば、そういうことになるわよねぇ。私的には非常におこがましいことではあるけど。次からは外してください」


「分かりました、金龍さん」


「何事も戦況を判断しながらやるべきだと思いますよ。相手にやられればやられるほど、小隊、軍隊を作り上げているようなものです」


「分かりました、次回投入時の隊員にはノーマルドレスの着用をさせるようにしておきます」


 そして、金龍の真向かいから徐々に足音が近づいてくる。


 靴底の音からにして、ブーツだ。


 深淵なる闇の奥から中国国防部の者がゆっくり現れた。


 金龍は即座に指令を下す。


「前方撃て!!」


 国防部の者たちが一斉に小銃から射撃を行う。


 だが、バトルドレスのバリアによって、弾丸は虚しく弾かれた。


「うそ!! 一枚バリアね!!」


 金龍は、眉根を寄せて、チャイナドレス周辺に囲っている六つのポーチから針を取り出す。


「しょうがないわね!! イェチンとファリンは後ろを警戒!!」


「了解!!」


 後ろ四名から揃って声が聞こえた。


「さあ、どうしようかしら? ここは41~50番にしようかしら。対バトルドレス用特殊針ね!!」


 独り言をつぶやくと、グローブ両手に片手四本ずつ、合計八本の針を両手で握る。


 長さは20センチぐらいで、針の持ち手の部分には細い繊維状のヒモらしきものがついていた。


 のそりのそりと、ブーツを引きずりながら、死体は動いている。


「拙者は、服部半蔵……」


 金龍は、微笑させながら、両こぶしで持った針を胸元で交差させて構えた。


「はいはい、自己紹介……お疲れ様!!」


 金龍が針を投げると、男のバトルドレスのバリアがゆっくりと飛散し、貫通する。


 ゾンビの首に四本の針が突き立てられ、更には腹部にも四本の針が刺さった。


 そして、金龍が両手を広げると、男がありとあらゆる動きをさせて、目の前に倒れた。


「どうかしら? 純鉄の針よ。41~50番はバリアを1.5枚砕いて、更に相手に大量のパーティカルロイド粒子を流し、高負荷をかけさせて、動けなくするのよ」


 どや顔で金龍は笑う。


 後方の部隊も、既に事は終えていた。


 イェチンは、相手のバトルドレスを既に背中から破っていた。


 中国国防部の者が二人とも震えあがっている。


 しかし、その震えあがり方は様子が違った。


「こ、これは、第一部隊の隊員だ!!」


 流石の金龍も眉をしかめた。


「……悪趣味ね……」


 金龍の瞳が薄青くなる。


「銀龍、そっちは大丈夫?」


「ああ、オレ達は無事だ。だが、二名ほどヨウの部下がやられた」


「ごめんなさい、こっちに来たから戦闘せざるを得なかったわ」


「……そうか。仕方がねぇし、オレのミスだ」


 金龍は、珍しく微笑から、眉根を寄せて不敵な笑みを見せる。


「ふふ、いいえ、違うわ銀龍。一概にあなたのせいとも言い難いわ……」


「おおう、こえーこえー。金龍、珍しくやる気じゃねーかよぉ……」


「そうね、薄汚くて、悪趣味なものは私大っ嫌いなの、知ってるじゃない?」


「へっ、昔からの馴染みだぜぇ。そういうときのおめーさんはよぉ、手に負えねぇ」


 金龍は、金色のポーチから赤い口紅を塗りなおした。


 イェチンやファリンは知っているが、他の中国国防部の者たちは何とも言えない表情をさせている。


 イェチンは、ファリンにぼそりとつぶやいた。


「やばいわ、金龍シェンシンが、本気を出したわ……」


「ボク、金龍シェンシンの本気は嫌だよぉ、怖いよぉ……」


「銀龍、どこに向かってるの?」


「とりあえずよぉ、闇市場で飯食ってる。別にユグドシアル大陸じゃねーし、飯食ってからなんちゃらだろ?」


「ったく、何でこんな時に……」


「しかも、たまたまルェイジーとも遭遇したぜぇ」


「そういえば、服部半蔵は追ってこないの?」


「ルェイジー達との情報によると、どうやら追ってこないらしい。

原因は不明だが、とりあえず金龍、おめーさんも来てみろよ! 今どこでぇ?」


 金龍は、銀龍から貰った地図情報データを見直した。


「銅龍省の……あら、気づけば闇市場まで傍じゃない?」



※蒙の、武器「針」について。


医療用も含めると蒙の針は10種類にも及ぶ。

ちなみに、番号ごとでふられているが、20番=20本ではないことはあしからず。


人体には、全部のツボ。全身全部で354個のツボが存在している。


1~20番

主に医療用に使用するための、針の番号。

心身ともに回復するための針のため、殺人、暗殺には全く使用されることはない。



21~30番

長さ10センチにも及ぶ通常使用の、武器針。

素材は、普通の鉄。

彼女の基本武器で、両手の、指の間に握りこみ、投げたり、ついたりする。



31~40番

暗殺用針を用いている。

素材は、アルミニウム。

そのため、猛毒を針に塗り込み、パワードスーツやバリヤーの隙間をぬい、急所めがけてさすことも可能。

ただし、威力はそこまで強くなく、バリヤー一枚のみしか壊せない。



41~50番

対バトルドレス用特殊針①

バリヤーを壊す能力は、1.5枚のバリヤーを壊せ、かつ電気を帯びる特殊性針。

素材は、純鉄。

純鉄とは、鉄を99パーセントまで高めた、銀のような物体。

他の鉄と比較すると、純度が高いため、抵抗がほぼなく、電気の通電性は、100パーセントに近いため、

電気が通る時のスピードも最高速度に達する。

流せる電流は、200Vクラス。

そのため、蒙専用の特殊グローブをしたりもする。

パワードスーツの隙間に針を突き刺し、行動不能にさせることができる。



51~60番

対バトルドレス用特殊針②

バリヤーを壊す能力は、ドゥアルバリヤーを壊せ、

かつ電気を帯びる特殊性針。

素材は、純鉄。

41番台とは異なり、威力もパワーアップ。

500Vクラス。

電流を流すための、軽量小型バッテリーも必要。



61~70番

対バトルドレス用特殊針③

素材は、カーボンナノチューブを利用した素材でできている。

バリヤーを壊す能力は、2.5枚まで可能。

51番台は、電気を通すなどだったが、51番台からはパーティカルロイドを流し込めるようになっている。

そのため、戦闘不能にさせることもできるが、

パーティカルロイドを過多に流し込み、コアユニットを完全破壊可能にすることができる。



71~80番

対バトルドレス用特殊針④

素材は、カーボンナノチューブを利用した素材でできている。

バリヤーを壊す能力は、トリプルバリヤー(3枚)まで可能。

パーティカルロイドを流し込めるのは、51番台とはさほど変わらないが、物理的に、パワードスーツの鋼鉄をも貫くことが可能。



81~90番

ミサイル、大量破壊兵器対応特殊針。

実は、81~85番までが、ミサイル対応針。

熱線や、振動させる技術を持っていて、主にデコイや、小さなコアユニットを針に詰め込んでいて、

パーティカルロイドを流し込み、爆発、膨張させることが可能な針。

そのため、大きさも今までの針とは異なり、長さ30センチにも及ぶ。

85~90番までは、各特殊針の中でも、蒙が持っている、通常兵器の中では威力の中では史上最強の針で、

素材はアルミニウム。

チャイナガールズしか、できない芸当である、音速で針を投げることが可能。

しかし、条件は、電磁レールガンとは異なり、パーティカルロイドを針に溜め込み、彼女の投射で放つというものである。

そのため、レールガンの色は青いと言われているが、白い炎になる。

投射速度は、お手製レールガンなので、威力は若干劣るが、

電力などが必要としないため、第一次資源戦争時には核に近づくほどの脅威の技術として、歴史に残っている。



91~99番


気功ユニットを最大限に利用する、特殊針。


素材は、金でできている。

主に、相手に対して、操る、内気功を流し込み、人体を操る。

脳に直接障害をおこさせるなど。

人体を操るため、筋力を一時的な能力アップや、痛みを取り除いたりもできる、万能針。

パワードスーツ抜きだったら、驚異的な暗殺針にもなる。

結局、どれだけ戦争が発達したとしても、人対人であることに変わりはないので、この針が後番にもってきている理由が分かる。

ちなみに、シュエリーはこの番号の針を胸の間に5本ほど、お団子頭に、3本刺さっている櫛も、実はこの針。

彼女のチャイナドレスの胸元が空いているのは、そのためである。



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