4-6 銀龍とヤーイー、ブリーフィング
-------N.A.Y.562年 8月15日15時00分---------
オレは、緊急医療室の椅子に座っていた。
情けねぇ、部下一人すら守れねぇたぁ、オレもヤキが回ったぜ……。
ホンホンは、一命は取りとめたが五分五分らしい。
死へといつ落下してもおかしくないくらいだそうだ。
金龍が、オレの隣に座る。
オレは、隣りの金龍と視線を合わせた。
「す、すまねぇ」
金龍は涼しい顔をさせたままだ。
ったくよぉ、強い女だぜぇ……。
「銀龍、任務を必ず完遂させましょ」
「ああ、わーってるよぉ。しかし、なんだぁ? あの意味不明な言葉ぁ」
「ニンニンね。あれは恐らく500年以上前の、とある日本のマンガから広まった言葉だわ」
「ったくよぉ、マジかよ。どういう意味だよ」
「デフォルメされたセリフね。けれど、彼の戦闘能力は異常よ」
「現場で見たから、じゅうぶん分かってんぜぇ」
「日本外人部隊でも相当な戦力だったみたい。傭兵集団のなかでも最も栄誉高い勲章も貰っているみたいよ」
「けどよぉ、何で裏九龍城国に来やがった」
「さあ、まだ目的は不明ね。隠れやすいからじゃない?」
「そんな、もんかねぇ?」
「あとね、やつは再び闇に隠れて、行方不明よ」
「何か付けられねぇの? GPSみたいなやつとかよぉ」
「九龍城国に入る前に、国防部のヨウさんが一度だけ発見したみたいなの。
その時、発信機をつけていたみたいよ。けれど」
「けれどよぉ、んだよぉ?」
「白衣を脱いで、すぐにトンずらするわ」
「何着持ってんだよ!!!」
「クソ、それと、ホンホンもだが、リャンリャンが一番心配だ」
「精神的なケアをしてあげた方がいいのかもしれないわね」
「オレとしたことが……」
金龍は、細い指でオレの肩を静かに乗っけてくれた。
相棒、心強いぜぇ。
「あなたが攻めるのはよしなさい。彼女たちも覚悟してるのよ」
「わーってる、わかってるけどよぉ……」
「とにかく、今が一番気をつけなくちゃね」
「つらいもんだぜぇ。リャンリャンはどこにいるんだ?」
「リャンリャンは、病院の屋上にいるわ」
「分かった」と、オレは重い腰を上げて、病院の屋上へ向かった。
屋上の扉を開くと、そこにはリャンリャンが一人で小さくベンチに座っていた。
オレはリャンリャンの横に座る。
「すいません、ターレン。ご迷惑をおかけし……」
オレは、リャンリャンの頭を撫でてやった。
昔からの馴染みだ。
彼女たちは元は孤児院にいたが、代理の人に今は預かってもらっている。
「リャンリャン、テメェはよくやっているぜ。毎日毎日、クンフーを行っているし、そのバトルドレスをほとんど脱いでねぇ。
ヤーイー含めて、皆テメェらの努力は認めている。そして、今回は俺の責任だ」
彼女は、すすり泣き始めた。
大きな瞳からポロポロと、涙がこぼれ落ち始める。
「ホンホン、わたしを置いてかないでぇ……」
オレは、リャンリャンを抱き寄せる。
「ターレンーーーー!! ほんとうにごめんなさい、ごめんなさい!!」
「リャンリャン、テメェさんは、今回の任務から一時的だが外す」
リャンリャンは、すぐに泣き止んだ。
「どうしてですか?」
「こういう時は、まともな判断ができねぇもんだ。そして、一秒でも多くホンホンのそばにいてやれ」
オレ達の後ろから、扉が閉じる音がした。オレとリャンリャンは、同時に後ろへ振り向いた。
白いチャイナドレスを着ている、ショートカットの女の子が、ゆっくりとこちらへ向かって歩いてくる。
「そうです、リャンリャンちゃん。ホンホンのそばにいてあげて。ここは私、ヤーイーが引き継ぎます」
既に白いチャイナドレス、バトルドレスを着用している。
「よう、ヤーイー。老師と会っているところ、悪かったな」
「大丈夫です、銀龍ターレン。バイ老師には既にお伝えしておきました」
「ありがとうな、リャンリャン、ホンホンのところに行ってきてくれ」
「わかりました……。ターレン」と、リャンリャンは病室へと戻った。
「相手は、どんな傭兵なの?」
「まあある程度共有されているデーターベースを見ていると思うが、ヤツは超強力な毒ガス使いだ」
「戦歴は?」
「元ニンジャコマンダーというところに所属していた」
「知ってる、あの変態集団でしょ」
「しかも、日本で勲章も貰っているらしい」
「特に、闇夜で特化しているパワードスーツ服部半蔵をまとっているみたい」
「ん? 妙に詳しいな」
「以前、ニンジャという項目で検索したら、やつらが出てきたんだよ。暗闇なのに、朱雀部隊クラスの素早さ、ターレンよく逃げられたね」
「まあ、なぜオレ達を追わなかったのが凄く気がかりなんだよなぁ」
「そこに、意味があるかもしれないよ」
「そうだ、何よりアイツの目的が気になる。人を殺すことだけだったら、とっくに全員死んでるぜぇ。ガスの量も絶妙に調節されている」
「それと、裏九龍城国の方も気になるよ」
「絶対に、一人ではできないことだよ」
オレは、長い髪をかきむしりながら、キセルをくわえた。
「ったく、余計面倒なことになりそうだぜぇ……」
武 芽衣(芽衣) ブ ヤーイー
年齢16才
女性
身長168センチ
髪は短髪で、色は黒。
肌の色 色白
瞳 グレー
人種 中国(香港)
利き腕 両方
クンフースタイル 截拳道
得意技①
全てを断つ蹴り技 踢技术打破一切 Tī jìshù dǎpò yīqiè
得意技②
視線を断つサマーソルトキック
得意武器 トンファー両手もち ヌンチャク両手もち
一人称 私
誕生日 NAY546年12月20日
所属部隊 白虎
BWH 体重 83/58/85 63キログラム
白虎隊リーダー。
白いチャイナドレスに、白虎の刺繍が施されている。
攻撃、防御、スピードに優れていて、白虎隊らしく、超バランスタイプ。
白い超鋼鉄ハイヒールを履いている。
長い脚を生かして、主に蹴り技が多い。
特に、鋼鉄素材のハイヒールを履いているので、蹴り技が最も映えるキャラ。
バイ老子にも、アドバイスをもらって自身でジークンドーを昇華させている。
住んでいる場所は「白龍省」のマンション。
結構、良いところに住んでいて、音響なども映画館並みのリングルームを持っている。
ごくまれに、ファリンがレトロゲームを持ってきて、一緒にゲームをやっていたりもする。
とにかく、ドラマ、アクション映画好き。
趣味は、だいぶ前に映画になった、ブルース・リーの、カンフーアクション映画観賞。
ダイハードも大好きで、とにかくアクション映画好き。
割とミーハーな所もあり、憧れた者になりたい願望が強く、昔見た「ターミネーター」のシュワルツェネッガーに強くなりたいと思い、
思わずターミネーターの銀色の骸骨を選んでしまうくらい、ある意味ファリン以上に思い込みの強い女の子。




