4-1 レッドバニーガールズ! レディーゴー!!
-------N.A.Y.561年 7月3日 20時30分---------
雷鳴とどろく中、一台の輸送飛行機が飛んでいる。
ユグドシアル大陸から日本列島を越えて上海上空を飛んでいるが、大荒れの天候のため、たまに強く揺れる。
AI制御の巨大なオートドローンシステムではあるので、何とか安定を保っているという感じだ。
ブロンドの髪色をした女性は、水着みたいな真っ赤な服を着ていた。
頭にはウサギの耳がついていて、白くも美しい顔には高性能眼帯をしている。
眼帯には「Red Bunny」と英文字が刻まれていて、その姿はまさしくバニーガール、そのままの恰好をしていた。
彼女は、通称バニーマムと言われている。
体格も大きく、しかし、その姿のわりには腕も足も色っぽくてほっそりとしている。
その傍らにオリーブドラブ色をしている弾薬の上に腰を落としている女性が一人。
その女性の姿は、艶やかで黒く長い髪、透けているかのように白い肌をしている。
黒髪の女性は、AIと軍事用秘匿パソコンを駆使し、ブロンド長髪の美女に言葉を投げた。
「今回の作戦は、暗殺部隊ニンジャコマンドーを生け捕りにするということで良かったのですね?」
背の高いバニーガール姿の女性は、ヘアバンドであるウサギのような耳を調整しつけなおした。
「そうよ、今回はニンジャコマンドー。私達をバカにしてくれたアイツよ?」
「そうですね、こちらも被害を被りました。おかげさまで、我々の隊員である音霧彩子が危篤状態になりましたね。
ボスである服部半蔵鷺沼。通称毒ガスコマンダー鷺沼は厄介です」
雛人形みたいに美しい女性は、体躯の大きい女性に向けて話し続ける。
よく見ると、彼女も赤いバニーガールの恰好をしている。
彼女たちの周辺にはモスグリーン色の、箱に囲まれていて、なおのことその赤い格好が生える。
「毒ガスコマンダー鷺沼が使用する毒ガスはいまだ、被害者を生かさず殺さず、苦しめられている人々が大半です」
「あの時の戦略には、まんまとはまってしまったわね」
「はい、マム。ですが、以前のように我々には負けは許されません。
そして、我が隊員であるアスペルギルス・フミガータスがマルチワクチンを開発してくれました」
「流石、アスペルギルスちゃん」
「そうですね、あらかじめバニーガールたちにもそのワクチンを全員分全て所持させています。
最悪な事も想定して、アスペルギルスちゃんにもしっかりと他の隊員分のワクチンも持たせてあります」
「ま、予備には予備を。っていうやつね。アイツ、うちの子ウサギ一人を危篤状態にさせやがって、生け捕りじゃなかったら、八つ裂きにしてあげるのに!!」
「マム、あまり感情的になってはいけません」
「うちには相当な借りがあるのよ!! 数千倍にして返さないとね!!」
「ええ、物資が足りなくなると、必ず動かなければいけません。
そして、何よりもパーティカルロイドコアも彼らのパワードスーツを動作するためには重要なエネルギーになります。
何とかして、パーティカルロイドをきれさせるように、私も彼の行動のルーティンをたどり、上海の地下道でもありとあらゆるところで、行き止まりにさせるように必ず追いつめてみせます」
パーティカルロイドコアとは、粒子を封じこめたような翠色の水晶玉みたいなものだ。
これを動力とし、バリアを作成したり、パワードスーツを動作させたりすることが可能になる。
今乗っている、自動AI輸送機も実はパーティカルロイドコアを利用して、空を飛んでいる。
「そうね、中国国防部も残念ながらトチったみたいなのよね、だから私たちが出動なわけね」
「そうです、国外逃亡させてしまった、正直ファイブズで処理してもらいところですがね」
ファイブズとは、ユグドシアル大陸の秩序を守ると言われている貴族集団だ。
他国よりも二世代、いや三世代以上の超科学技術で全世界をずっと支配していると言っても過言ではない。
その配下には、シスターズという女性だけで固められている集団もある。
聖教十字騎士団の一般兵にはヴァルハラの女神と呼ばれ、彼女たちが出てくるだけで、一般兵の士気が以上に上がったことをマムも見たことがある。
バニーマムは、ブロンドの髪を手櫛を通しながら、髪をふるい踵をかえす。
サラに背を向けたまま、声をかけた。
「サラ、現地にはいつぐらいに到着? 私たちの、子ウサギちゃんたちもうずうずしているみたいなのよ!!」
「マム、心配には及びません。あと五分ほどで到着します。パラシュートザック用意の指示と、グローブ着用にゴーグル着用を命じてください」
マムは、目の前で座っている、かわいいかわいい子ウサギを見渡す。
目の前には、両左右に全員が着席しているのだ。
「さあ、パーティーの時間よ!! 子ウサギちゃん達!! ザックを背負って、硝煙と爆炎の遠足よ!!! そして、毒ガスコマンダーを確実に捕まえましょうね!!」
暗がりの中、それぞれのウサギが立ち上がり、ザックに腕を通す。
その暗がりの中、ウサギの耳だけが見えた。
ウサギの耳は、それぞれ微妙に形は異なっており、右耳が折れていたり、両方とも立っていたりする。
暗がりだというのに、彼女たちの目は真っ赤に燃えるように光り、いつでも準備は出来ているという感じだろう。
「さあ、行くわよ、レッドバニーガールズ、レディーゴー!!!!」
12名の赤いドレスを着ているウサギたちは立ち上がり、音声認識で照合をかける。
「パーティカルロイド起動!!」
飛行機のハッチが徐々に開き、全員はそれぞれの武器を所持しながら、大雨の中を落ちていった。
バニーマム
年齢27才?
女性
身長180センチ
髪は金髪
肌の色 白人
瞳 青色
人種 アメリカ人
利き腕 両方
BWH: 90 53 80
チームのボス。
左目は黒い眼帯をしていて、ウェーブのかかった青い瞳の、金髪の美女であり、ボスとしての迫力もある。
左目の眼帯を外すと、一応目は見えているが、ほとんど視力はない。
その為、右目よりも光彩の色が薄い。
眼帯をはずせば、実は、超絶的アメリカン美女。
左目の眼帯にはパーティカルロイド技術を利用し、眼帯が視力補強と、情報収集。
衛星情報(空撮)を見ることが可能になっている。
アメリカ政府とは既に繋がってはいないが、ある程度の技術をパーティカルロイドコアを交換条件に、取引をしている。
年齢は不詳だが、見てくれは二十代後半ぐらい。
元アメリカ傭兵女集団レッドバニー所属。
当時は副リーダーを務めていた。
長身の体格に似合わず、身軽な跳躍力と素手で戦車を転がせるほどの、怪力が特徴。
チャイナガールズのマーメイ以上の怪力の持ち主。
戦争相手からは、彼女がやってくるだけで、弾丸の命中率が悪くなる。
ウサギのようにぴょんぴょん跳ね回る様、気づいたときには、死んでいると言われるほど、
十字聖教騎士団から畏怖の念を込め「レッドバニー」と呼ばれていた。
非常に面倒見がよく、命をかけていることからか、いつでもみんなが帰ってこれるような場所を作ろうと、レッドバニーガールズを結成したいきさつがある。
その為、彼女たちに頼む依頼人たちから金額の交渉も任されており、非常に強欲とも言われるが、
傭兵は非常にウェットワークでありながらも、値段に合わないと言われており、
全くひかない態度を取ることが多い。
実は中絶経験があり、
だからこそ、部隊内を守りたいという思いが強く、隊員一人一人を我が子のように思っていて、粗暴な銀龍とは一緒。
細身な方ではあるが、重いものを持つことを得意としており、バズーカを片手で二丁持つことも出来るし、さらには装甲車を一人で持ってしまうことも可能。
ちなみに、細いハマキとウィスキーのロックが大好き。
使用武器は、レールガン、対物ライフル、ミサイルなど。とにかく、ごつくて重いもの!!




