3-16 リーシーさん、なぜか保険の営業をしている。 その2
とりあえず~セントラルから出て~お年寄りがよく移り住むと言われている~
「老龍省」へ向かいました~~。
老龍省は~非常にお年寄りが~多いのです~~。
私は早速~適当なマンションでチャイムを鳴らしました~~。
扉がうっすらと開くと~一人暮らしの御婆さんが私を見上げてます~~。
「何のようだい?」
「すいません~お時間よろしいでしょうか~~?」
「あたしゃ、忙しいんだよ!!」
「少し~だけでいいんです~~。保険入りませんか~~?」
「なんだい、この国に保険なんてあったのかい?」
「新事業なんです~~」
「ふん、とりあえず上がりな」
御婆さんは、私をいれてくれました~~。
そしてお茶を出そうと棚に手を伸ばしています~~。
「手伝います~~」
「いいよ!!」
「だめです~腰痛めてしまいますよ~~」
「そうかい、じゃ、その二段目のお茶の袋を取っておくれ!」
「わかりました~~」
「アンタ、名前なんていうんだい?」
「万 儷杏(俪杏) バン リーシーと~申します~~」
「そうかい、リーシーさんかい」
「はい~おばあ様のお名前は~何というのでしょうか~~」
「あたしゃ、胡 珍珍だよ」
「そうなのですね~~」と、私は~急須にお茶の葉をいれて~お湯をお借りして注ぎました~~。
「あんた、いいとこのお嬢さんだね?」
「何で分かるのでしょうか~~?」
「お茶の入れ方で分かるよ。徹底的に常識を叩き込まれるのが、お嬢さんっていうもんさ」
この方は~凄い洞察力を持っている人です~~。
「それと、カワイイ顔しているけれど、アンタ、なかなかの手練れだね」
「なんの~ことでしょうか~~?」
「まず、背筋がしっかりと伸びている。それは、気がたえず回っている証拠だよ。細身のわりには身体の芯が強いね?」
「あの~もしかして~~。あなたは~老子なのでしょうか~~?」
「そんなたいそうなもんじゃないよ。ま、内乱の多い国だったからね。保険よりも、己のクンフーのみが全ての時代だったのさ……」
「お噂では~きいていましたが~~。本当にすごい時代だったみたいですね~~」
「そうさ、でもね。この年齢でも生きられてるのも、クンフーのお陰なのさ。アンタ、何の拳法を使ってるんだい?」
「呉式太極拳です~」
「呉式かい、あたしゃと一緒だね……」
「そうですね~~」
私はずっと太極拳の話しをしてしまいました~~。
でも、おばあさんの笑顔をみていますと~ついつい話してしまうのです~。
「そうだ、アンタに技を教えてあげるよ」
「え~でも~~」
「いいから、いいから!!!」
「はい~~」
そして、現在なぜか近所の近くの公園で~私は套路を行っているのです~~。
私は~套路を終えてお辞儀をして~直立しました~。
フー老子は~突然私のお尻を触るのです~。
「ひゃあ~~!!」
「ごめんよお嬢ちゃん。良い練功をさせている。これぐらいの筋力があれば、あの技を使えるな」
フー老子は~私の目の前で~拳と掌を合わせて、会釈をします~
そして~深呼吸をさせて太極拳の構えをさせます~。
小さなお婆様は元気よく駆け、跳躍しました~。
そして、つま先と片手を合わせるように、回し蹴りをします~。
御婆さんが着地をすると~ものすごい風圧が出たのです~。
とてもお年寄りにはみえませんでした~。
「いいかい、太極拳は足腰を鍛えて最小限の力で全ての技をいなし、かわし、攻撃を叩き込む。
その中でも禁じてなのが、蹴り技なんだよ……この技を摆莲脚という」
「套路の中では~ほとんどないような~~」
「そりゃそうだよ、他の拳法の技なんだよ。
けどねぇ、本当のクンフーは、他流派も取り込んで身につけてなんぼなんだよ。
自身の血と肉と骨を利用し、気で叩き込む!!
太極拳はねぇ、ほとんど蹴り技までいかないからだよ。蹴り技まで行く太極拳は、凶器以外なにもんでもないからねぇ。
そして、太極拳は足先から腰の辺りまで鍛えないと、いなすという行為はできないんだよ」
「この技~相手の後ろに回って使うのですね~~」
「さすがだね、リーシーさん。一見、変わった動きをしているけどねぇ、意味はあるんだよ」
私たち二人の間から~声が聞こえました~。
「おい、婆さん、そんなところにいたのか!! ようやく捕まえたぜぇ」
二人組の男が~公園の入り口から私たちのところまで~やってきます~。
太い大男が一人、細い男がひとりです~。
言葉使いが荒くて~とっても育ちが悪そうで~あまり関わりたくはありません~。
「ふん、またあんたらかい……」
「うるせぇ、あのアパート、黒龍会が買い占める予定なんだよ!!」
「あたしゃ、どかないよ!!」
私は~おばあさんを見下げます~。
「どうしたの~ですか~?」
「ふん、あんたにゃカンケーないよ」
私はおっきな男の人を見上げます~。
「嬢ちゃんどきな、俺はその婆さんに用事があるんだい!!」
「それはそれは~私も用事があるのですよ~」
面白いですね~おっきな男の人は~両手の関節を鳴らしています~。
「ぶっ殺してやる……」
私は~目をうっすらと開けてました~。
「儷杏式兰采花!! (リーシー式兰采花)」
おっきな男の人は~なんかよくわかりませんが~公園の入り口まで吹き飛びました~~。
これでも~手加減したんですけどね~~。
おっきな男の人は~受け身もとれずに~地面を転げまわりました~~。
そして~土に身体をつけたまま動かなくなりました~~。
小さな男の人は~私を見るなり逃げました~~。
「ひ、ひぃぃいいいい!!」
挨拶もないなんて~失礼な方ですね~~。
「ア、アンタ……」と、お婆様は言ったあと笑いました~。
「お嬢ちゃん、良いクンフーをもってるね!!」
「そんなことないです~フー老師~~」
「アンタのとこと保険の契約するよ……」
「え? よろしいのでしょうか~~」
「ただ、たまにうちの所にきな!! 稽古つけてあげるよ!!」
「すいません~色々と~~」
「こっちだよ、礼を言いたいのは。あいつらここんとこうるさくてね!! アパートの引き渡しを狙っているんだよ」
「そうなんですね~~」
この日は結局~五件ほど契約を頂きました~~。
そして、事務所に戻りました~~。
「銀龍さん~なんか五件ほど契約取れました~~」
銀龍さんは黒いソファーから立ち上がります~~。
「なに、マジか!!!! すげー、リーシーお前さん営業のセンスあるんじゃねーの!!」
「今日~一日だけですよね~~」
「いや、もっと稼ぎてぇ!!」
銀龍さんは~また目を十字に~輝かせています~~。
「いいか、リーシー。時代は変革の時代だ!! 誰もやらない所にチャンスはある!!」
そして~銀龍シェンシンは~金龍さんの方を向いて~両手に腰をあてて大笑いしています~~。
「なあーはっはっはっはっはーーーーー!!」
私の~プライベートは~どこへ行ってしまうのでしょう~~?
不安で~仕方がありません~~。
金龍さんは~私を見ています~~。
「お疲れさま。その分、給料払うわよ」
そして~みるみるのうちに~私の給料が倍々に膨れ上がっていくのでした~~。
胡 珍珍
一人暮らしのおばあちゃん。
ぶあいそうだが、観察眼鋭く、相手の全身から人生のいきさつを読み取るくらい、
元気なおばあちゃん。
実はクンフーの使い手で、リーシーに新技を教えたり、リーシーにとってはもう一人の師匠。
ドラゴンマフィアとも渡り合えるくらいの実力の持ち主。
噂では、以前の内戦が多かった時の九龍城国の英雄という噂も、、、、。




