表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チャイナガールズ!!~スーパーカンフーハイパワーチーム~  作者: 乾ヒロキ
チャイナガールズ!!達の破壊的な日常。
53/178

3-6 銀龍ターレン「劉龍飯店」に来店。 その3

 

 次の日。


 銀龍は、珍しくチャイナドレスではなく、黒い地味なダボダボな中国服を着ている。


 孤児院を巡った後、劉龍飯店の目の前にやってきた、銀龍。


 五年前、新しく変えた入り口も、既に年季が入り始め、ガラス扉の端々に黒いカビみたいなものが出てきている。


「まあ、あれから五年も経てば、あたりめぇだろうな」


 キセルをくわえ、入り口を入った瞬間、火薬の音と匂いが立ち込める。


 クラッカーの音だ。


「銀龍、祝你生日快乐ジュー・ニー・シェンリー・クワイラーお誕生日おめでとうアルネ!!」


 口元から落としそうになったキセルをくわえなおす。


「テ、テメェら……」


 そこには、ど派手な衣装の金龍が、椅子に座り足を組んでいる。


 金色のスパンコールドレスを着ているのだ。


 そこから始まり、マーメイ、リームォ、イェチン、ホンホン、リャンリャン、


 シェンリュがいた。


 銀龍は、金龍の姿を見て鼻で笑う。


「金龍、ある意味ここじゃ一番似合わねぇよ……」


 金龍は、微笑しながら、眉一つ動かさい。


「相棒のパーティーだっていうのに、おめかししないのは私のポリシーに反するわ」


「へっ……」


 銀龍は、一歩踏み出し、ルェイジーの前にやってきて、肩を回す。


「ルェイジーちゃんさぁ、ありがとよ。後でつけといてくれや。全部払ってやる!」


「ルェイジー、銀龍のためアル!!」


 無邪気に笑う、ルェイジー。


 ホンホンとリャンリャンは、何を考えているのか分からないが、いつも通りのバトルドレスを着ている。


 銀龍は二人の前にたたずむ。


 左右の三つ編みを後ろにまわしている髪形、ホンホンが口を開く。


「銀龍、おめでとう! あたしもこういう風に祝われたいわ!!」


 左右の三つ編みを両サイドにまとめている女の子が話す。リャンリャンだ。


「ホンホンも、きっとそういうふうになれるわ。めざすのよ、私たちのクンフーはまだまだ高められるから」


 銀龍は、その姿を見ると、察した。


 クンフーの演武の練習を行っていたのだろう。


「ホンホン、リャンリャン、たまには休めよぉ。強くなりてぇのは分かるがよぉ」


「銀龍さぁん」と、後ろから呼びかけられたので、銀龍は振り向く。


「お、マーメイとリームォか。わりぃな、来てもらっちまって」


「いえいえ、そんなことないですぅ」


 銀龍は、少し腰を落とし、リームォと視線を合わす。


「リームォも、ありがとよ」


「ぎんりゅ、おめでとぉう……」


 銀龍は、ツインテールになっている頭のてっぺんを撫でる。


 撫でまわすたびに、ネコみたいにリームォの瞼が閉じる。


「ぎんりゅ、だいしゅき……」


 長髪に、左右両端の前髪だけをまとめている女の子に銀龍は近づく。


「イェチン、田舎に帰っていたのによぉ。しかも河南省。遠いぜぇ……」


「アイヨー大丈夫よ。ルェイジーの企画は大成功ね」


 ルェイジーは、お得意のタワーチャーハンを作った。


 姉のマーメイに肩車をさせてもらって、リームォがチャーハンの頂からお皿を取り分けている。


 銀龍もそれを頬張り、紹興酒を飲む。


 スマートコンタクトレンズから通信が入る。


 データ量が多いのか、かなり遠くの方からの連絡なのか、開くのに多少時間がかかった。


 開いたら、画面の前でお団子頭二つの女の子が笑顔で手を振っている。


 レイレイだ。


銀龍大人ターレンお誕生日おめでとう!! 私、福建省出身だからそっちに行けなくてごめんなさい」


 隣からは、眉毛がキリリとしている女の子。


 シャオイェンだ。


「銀龍隊長、おめでとうございます。誕生日はここまで生きてこられたということで、祝うものです。

私もそちらへ行くことは出来ませんが、せめてこの動画からでもお祝いの言葉を伝えます」


「ったく、堅苦しいぜぇ……シャオイェン」


 レイレイは、シャオイェンを無理やりどかし、画面の前にまたやってくる。


「シャオイェンは、面倒くさいからこれにしてと。銀龍ターレン、せめてこれだけでも流しておくわ!」


 と、画面いっぱいに拳が広がり、「わぁぁああ!!」という声と共にカメラに地面が映し出される。


 カメラの三脚が倒れてしまったらしい。


「クンフーはいいから、たまには休めよぉ」


 と、今度は他から通信が入ってくる。


 ファリンからだ。


 また、動画メッセージなので間が空く。


 ゲージが一杯になったら、動画が開いた。


 いつもは頭に鈴の飾りをつけているが、長髪で眼鏡をしている。


「銀龍ターレンおめでとう……。僕は、銀龍を尊敬しています。そして……」


 と、紙にペンを入れて、この間見せてもらったボーイズラブ、同人誌の一枚絵を見せる。


「これ、僕んちから送るよ」


 銀龍は、ニヤニヤしながら、キセルに火をいれる。


「うぉお、楽しみだぜぇ……」


 リームォは、ニヤニヤしている銀龍をよそに、目の前にあるパイコー麺をすする。


「ぎんりゅ……たのちそぅ……、」


 ルェイジーは、赤いチャイナ服で皆に料理を振舞っている。


「アイヤ、お昼よりも忙しいアルネ!!」


 今度は、ホンホンとリャンリャンが、そこら中にある椅子やテーブルをどけて、


 六角棍を同時に合わせて演武を行っている。


「ったくよぉ、そうぞうしぃぜぇ……」


 また、動画メッセージだ。


 ウィンドウが開く。


 ハミルトン綾からだ。


「はいはーいミス銀龍。おっと違ったわね。シェンメイ31歳のお誕生日おめでとう。まあ、まだまだお互いにやりたいこといっぱいあるから、これからもよろしくね。それと、演習があるんだけど、視察に来る? パワードスーツのミヤビの実践投入を目指して、試験運用するのよ。

ま、とにかくこれからもよろしく!! またねー」


「へっ、仕事の話しは後にしろよぉ」


 シェンリュが銀龍の肩に手を置いた。


 銀龍は振り向く。


「銀龍ターレン、おめでとう」


「サンキュな、シェンリュ」


「うん、いつもありがとうございます」


「よせやい、かしこまるんじゃねぇ」


 銀龍は、鼻をこすり、シェンリュとちょっとした会話をし、彼女は再びテーブルに戻る。


 その後も、通信の着信は鳴りやまなかった。


 外れにいるチャイナガールズ達が面白おかしく動画メッセージを送ってきてくれている。


「オレはぁ、幸せもんだぜぇ」


 そばにチャーハンを持ってきたルェイジーが、真顔で近づいてきた。


「銀龍、何か言ったアルか?」


「いんや、何でもねぇ。ルェイジー悪りぃ、紹興酒もう一つくれや……」


 ルェイジーは、屈託のない笑顔をさせ、「了解アルネ!!」と厨房にオーダーする。


 銀龍は、紹興酒を口に含ませ顔を赤らめながら、チャイナガールズ達の笑顔あふれる店内をずっと眺めていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ