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1-2 シェンリュVSメイドオカマ!!

 

 シェンリュも覚悟を決めて、オカマに向けて一歩踏み出す。


 オカマは彼女を見下げている。


「よく見ると、あーら可愛い!! じゃじゃ馬は私のタイプよん!」


 銀龍は、シェンリュの性格はよくわかっている。


 彼女は、負けん気が強いため、その性格が災いし前進してしまうタイプである。


 そのため、結構命にかかわる事態になることも多いし、玄武部隊隊長からも抑え込まれたりしている。


 彼女の部隊長は、うまくシェンリュを制御しているのだ。


 シェンリュは、両手を広げ、腰を落とし、膝を軽く曲げる。


 彼女のクンフースタイルは、詠春拳だ。


 バトルドレスのバリアは音声認識で起動する。


 シェンリュは叫んだ。


「パーティカルロイドシステム起動!! 気功ユニットオン!!」


 チャイナ服が薄青く一瞬光ると、シェンリュの身体全体を幾何学模様が彼女の全身を駆け巡る。


 スマートコンタクトレンズから通信機器、バリアユニット、気功ユニット全てが初期起動し、正常動作しているということだ。


 彼女の全身を、パーティカルロイド粒子が駆け巡る。


 彼女のクンフースタイルは、詠春拳なのだが、玄武部隊用にかなりカスタムされている。


 シェンリュは、構えながらも初めの攻撃で全てが決まる。と、確信していた。


 中国靴の靴底と地面が擦れ合う音が、見守るチャイナガールズ達の周辺を響き渡る。


 彼女は、心の中でこう思いを巡らす。


 アタイの拳に間違いはなく、今まで何度も戦場を乗り越えてきた。


 アタイを信じろと……。


 シェンリュは、右足に力を入れ、急激に大オカマに接近。


 最大限の正拳突きを放つ。


 手ごたえはあった。


 並みの兵士だったら、腹部を抑えるどころか、そのまま30メーターほど吹っ飛び、悶絶し、内臓は確実に破壊されてるはずだった。 


 眼前と広がる、闇に彼女は飲み込まれそうになった。


 オカマの、みぞおちに正拳突きは確実に当たっているが、まるで手ごたえはなく、何かを殴っているような感覚すらない。


 シェンリュの身長は女の子にしては高いが、相手側がおぞましい建造物、戦車、装甲車? 違う。


 これは、ユグドシアル大陸の真ん中に君臨している、あの難攻不落の城。要塞に見えてきたのだ。


 その要塞はあまりにも巨大すぎる。


 彼女の美白を汗がゆっくりと玉になり、軌道をえがきつたう。


 彼女は恐怖で固まった首の筋肉を無理くり動かし、何とか顔を上げる。


 真っ黒に塗られた巨大な化け物の、口元らしき赤い唇が裂けたのだ。


「あーら、終わりなの? じゃあ、もういいかしら?」


 一瞬の出来事だった。


 相手の両方の腕が空高く上がった瞬間、シェンリュのバリアもろともバトルドレスが裂ける。


 オカマの手がバリアで防ぐこともなく、あっさりと六角形が集まったバリアは飛散したのだ。


 彼女の生白く若々しい背中が丸見えになり、スポーツブラまでも裂けてしまっている。


 あまりの出来事に、メンバー全員が狼狽し、言葉が出ない。


 通常、バリアは、防弾、対爆、対炎であり、バリアが発動するときは、音速並みの衝撃が来なければ自動的に発動する仕組みだ。


 そのため、先ほどの爆風の時はバリアが発動した。


 バリアが発動している状態なのに、バリアが破壊されたということは、素手のスピードが音速だということだ。


 そして、それを壊すという技術も一級品だ。


 赤いチャイナ服を着ている女の子が、あっけにとられながらも言葉を漏らした。 


「嘘、バリアごと素手で持って行った……」


 シェンリュは、へなりと内股を地面につけ、腰を落とし愕然としている。


「ア、アタイのバトルドレスが……」


 白いメイド服のオカマは、長い金髪を振り乱す。「いい? 手加減は今回だけよ?」と言い残し、オカマ達は準備をしにコンテナへ戻る。


 シェンリュの細い肩に銀龍は手をおいて、大股広げてしゃがみ込む。


「だから、シェンリュ、言っただろぉよ、むやみに突っ込めば、想像以上にケガするっつーのによぉ。お前たちのためにならねーんだよ。ったくよぉ、士気が下がっちまうだろ? 替えのバトルドレスはあるよな?」


 シェンリュは、下唇を噛みながら肩を震わせ、こくりと頷く。


 金龍は、すぐに両手をパンパンとたたき、自信を注目させる。


「はいはい、あなた達、いいから演習準備をしなさい。それと、今回はボスへの攻撃はなしよ!」


 各自は、返事をし、散り散りに準備をしようと、近くにあるコンテナに向かう。


 銀龍は、シェンリュと同じ緑色のチャイナドレスを着ている女の子を呼び止める。


 他の隊員とは違い、背中には玄武の刺繍がしてある。


 玄武部隊隊長、リーシーだ。


「わりぃ、リーシー、シェンリュのこと頼むわ」


 彼女は、ハイヒールで回れ右をし、敬礼をする。


「わかりましたわ~銀龍さん~~」


 隊員の士気が下がっているのにもかかわらず、ほんわかとしている声。


 リーシーは、玄武部隊隊長であるが、そのマイペースぶりには銀龍もたまにイラつくことがある。


「とにかくよぉ、お前さんも急いで準備してくれよ」


 銀龍は、チャイナドレスの裾をひらりと回し、踵を返した。


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