VSメイドインガールズ おまけ2
シェンリュはあっという間に金ピカの、クレオパトラな姿になってしまっていた。
少人数なのに、驚異的な速度の準備に、シェンリュはただただ圧倒されていた。
そして目の前には、紫色のポニーテールをしている女の子が、黒いロープみたいなものでグルグル巻きにされて涙を流しながら泣いている。
その光景をよそに、シェンリュはオカマの一人に声をかけた。
「ねぇ、メイドさん。アタイさ、不思議に思ったんだけれど……」
椅子に座っているシェンリュに、ギロリと目玉が向けられる。
なりは、メイドで筋肉ムキムキでコミカルだが、傭兵の目だ。
構わず、シェンリュは言葉を続ける。
「ねぇ、思ったんだけどさ、どうやってバズーカを隠しているの?」
「ふふ、乙女の秘密よぉ……」
シェンリュは唇をひん曲げ、眉根を寄せ首を左へとかしげる。
「その表情だと、納得はしていないみたいね。まず、一番怪力な青龍部隊の女の子を拘束できたのか……考えなかったのかしら?」
シェンリュは「アイヤー!!」と、叫びながら蠢く物体を冷ややかに見つめている。
「そんなもの、持っているとは思えなかったし」
「そう、全ては油断よ。相手が丸腰に見えるからって、見かけに信じちゃいけないっていう事よぉん」
二人の会話の途中で、ひたすら「アイヤ!!」という言葉が挟まれる。
「なるほどねぇ、アタイも油断していた……」
「アイヤ!!」
「そうねぇ、油断大敵っていう言葉はあるけれどぉ、本当にまんまと引っかかってくれたわぁん」
「アイヤ!!」
「でもねぇ、私たちの、真骨頂はそこにあるのよぉん」
「アイヤ!!」
シェンリュとオカマは目をぎらつかせ、蠢く物体に同時に叫ぶ。
「狙っているわよね!!」
「アイヤーーーーーーーーーーーー!!」
ルェイジーは、横たわっているのに、超絶的な身体能力で、恐ろしいほどジャンプする。
もはや、寝そべったまま弾んでいるので、ジャンプと言えるのかどうかもわからない。
とにかく、シェンリュの身長ぐらいの高さまで飛び上がっているのだ。
シェンリュは、ルェイジーの小さな口元を、優しくガムテープで塞ぐ。
「そう、そこよ。それで、あれはどうやっているの?」
「そんなに知りたあぁいん?」
「うん、知りたい!!」
オカマは、シェンリュの前に両手を突如出した。
そして、掌の中からハトが出てくる。
「す、すごい!!」
「つまりねぇん、バズーカも一緒の原理よ」
ハトは、羽ばたきルェイジーの上に乗り、ところどころ突っつく。
くるっくぅーー!!
「んんん!!」
苦しそうなので、シェンリュは上品に椅子から立ち上がり、ルェイジーの唇に貼ってあるガムテープをとってみた。
そして、ひたすらハトにつつかれる。
くるっくぅーー!!
「アイヤ!!」
くるっくぅーー!!
「アイヤ!!」
くるっくぅーー!!
「アイヤ!!」
シェンリュは、冷ややかにルェイジーを見つめていた。
「きっと、食べ過ぎてチャーハンの匂いが、肌からもにじみ出ているのよ……」
「それは、肯定するわぁん」
その後、ルェイジーは一か月分の「アイヤ!!」を叫ぶこととなったのだった。
レイレイは、鉄骨の上に両手に腰をあてて立っていた。
そして、二人を助けに来ていたのだが、見下ろすと、なぜかルェイジーの周辺にハトが一羽いるのだ。
「なんで、ハト?」と、疑問に思いつつも、立ち上がった。
「ま、いっか!!」
彼女は深呼吸をし、下側の者達に向けて叫んだ。
「あんたたち!! 好き勝手やってくれるわね!!」




