2-15 闇に蠢く闇。
-------N.A.Y.562年 2月某日---------
ここは、中国だ。
広東省福山区にある、脱出不可能な刑務所がある。
地上から地下500メートルに牢獄があるのだ。
その刑務所の中で、軍の警備兵が牢獄の前で小銃を持ったままあくびをしている。
ガスマスクを被ったままの、男が幽閉されていて、スポットライトがそいつだけ照らされている。
ライトをずっと照らしているのは、拷問のようなもので男をずっと寝かさないつもりなのだろう。
その男の全身は白い袋のようなもので全身を拘束されている。
交差している両腕には動かないようにベルトがキッチリと巻かれていて、動くことなど不可能なはずだ。
男はガスマスクをしたまま、気持ちの悪い笑い声を響かせる。
「九龍城国。うひひ!! 楽しそうだなぁ!! うひひひひひ!!」
警備兵に、銃口を突き付けられ、注意される。
「喋るな!! 貴様!!」
男はそんなの無視して喋り始める。
「うひひぃ、毒ガスほど美しく人を殺せるものはない……。貴様も、どんな顔をして死ぬことやらぁ」
「これ以上、喋れば……」
男は、所持している銃のトリガーを引こうとしたら、妙な音に気づく。
シューという音だ。
気づいたときは遅かった。
男の目の光彩が急激に小さくなり、小銃が手から落ちその場に倒れた。
「うひひぃ……楽しみだなぁ……九龍城国……」
と、男は拘束具を着たまま、ずっと不気味な声を漏らしていた。
しばらくすると、幽閉されているライトも消え、全てが暗黒に包まれた。




