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2-13 リームォさん、本気を出す。

 

 イェチンはあらゆる弾丸を跳躍し、かわしていた。


 そして、ナイフを投げるが、相手はすぐにはじいた。


「アイヨー、腐ってもパワードスーツよ」


 ひらりと着地し、朱雀部隊のリームォがナイフを握ったまま、両手拳を握る。


「きこうゆにっとょ、ぜんかいー」


 その瞬間だ。


 男の真横に突如現れる。


 男はすぐさま左手側に銃口を向けるが、今度は右にいた。


「クソックソックソックソックソックソックソッ!!!」


 言うたびにリームォに翻弄されている。


 そして、まだ残弾数はあるのに、突如弾が切れる。


「ちくしょおおおおお!!」


 男は両肩に乗っている多段弾道ミサイルを発射しようとするが、発射できない。


 リームォがありとあらゆる、各部の通信手段を器用に全て刃物で切断していたのだ。


「ありがとぉ、リームォ……」と、ゆったりとした口調で、その言葉を捨てて、闇から、悪魔なのか蠢く何かがやってくる。


 夕闇へと差し迫る中、暗がりの目の前に背の高い女性が槍を持ってゆらりゆらりとやってくる。


 男は驚愕に満ちた顔で、脂汗をかいている。


「う、ひぃいいいいいいい!!」


 それは、夢でも幻覚でもなく、現実だ。


 男の心の中では、こう叫んでいた。


 デーモンだ!!! 蒼い蒼いデーモンだ!!!


「リームォ……とってもとってもかわいいリームォ、ありがとう」


 男は悪夢の中、悪魔を見つめながら、最後の一言を発射する。


「悪魔めぇええええええええええ!!!!」


 悪魔は、腰を落とし片腕で槍の切っ先を放つ。


「ぐぼべええええええ!!!」と、弾丸よりも早く走った槍は、男の胸の真ん中を突き抜け、倉庫も突き抜けていく。


 男は両手に染まった大量の血を見つつ、大爆発した。


 もくもく。と、煙が赤い土から柱を立てる。


 マーメイが伝達。


「銀龍さん、全員せん滅しましたぁ。青龍部隊はぁ、まったく傷はありませぇん」


 各それぞれの部隊が報告する。


「朱雀部隊、被害はないわ!!」


「白虎部隊、なしよ。ジークンドーは無敵!!」


「玄武部隊~被害はないですが~~パーティカルロイド残数平均30パーセントぐらいです~~」


 それぞれに銀龍の指示が入る。


「分かった。テメェら、あとはコステロを見つけろよ!!」


 全部隊チャンネルをオープンにしていたので、金龍から情報が入る。


「銀龍、コステロは逃げたわよ」


「あぁん? マジかよぉ? どこ行ったぁ?」


「あなたの辺りから、11時の方向、距離約500メータね……」


 銀龍はマニュピレーターに銀色の中国キセルをしまってもらう。


 顔を前かがみして、銀龍は笑う。


「へっ、オレから逃げられると思ってるのかよぉ!!!」


 その瞬間、夕暮れの中銀色の機体が全速力で駆け抜けていく。


 チャイナガールズたちは全員言葉にすることはなかったが「銀龍ターレン、ご無事で」という思いを込めて夕日を突き抜ける銀色の光を眺めていた。





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