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2-11 怒りのコマンダー、レイレイ!!


 銀龍を狙い続けていた戦車三台が、銀龍を諦め、チャイナガールズに銃口が向けられる。


 そして、白い影が過ぎ去ると、戦車一台の砲身が完全に折れ曲がり、そのまま発射。


 弾詰まりをおこし、戦車1台は爆発。


 燃えさかる炎の中、小さな六角棍を持っている白い影が一つ。


 背中から皆へ振り向きざまに笑っている。


 右側に八重歯がきらりとひかる。


 ホンホンだ。


 そして、もう一台はヤーイーとリャンリャンが対応している。


 戦車の砲身がリャンリャンをしつこく狙う。が、ヤーイーはすでに戦車の砲身の根元にいる。


 そして、両手のトンファーを握り、腰に持ってくる。


 気功ユニット全開!!


「いくよ!! 全てを断つ蹴り技 踢技术打破一切!!」


 と、根元から戦車の砲身の根を踏む。


 鋼鉄のハイヒールと鋼鉄がぶつかり合う音が響く。


 あまりの衝撃に、根元がぺしゃんこになった。


「うひいい!!」と、男はハッチを開け、逃げようとするが、すでにリャンリャンが男の顔をついた。


「ぷぎゃっ!!!」


 可愛い声をあげながら、男はぐったりしている。


 ヤーイーは踵を返し、ぐったりしている男の鋼鉄の帽子を薙いだ。


 男の首が三回転ぐらいし、まったく動かなくなった。


 戦車1台、装甲車は二台だ。


 装甲車や戦車が慌ててバックして逃げようとするが、朱雀部隊の速度が尋常ではないので、あっという間に砲身が全て切り取られる。


 武器が役に立たないので、単なる鋼鉄の棺桶でしかない。


 突如、装甲車が1台止まったので、全員様子を見る。


 そして、一人の男が両手を挙げて、出てくる。


 朱雀部隊長のレイレイの目の前で両手を挙げて出てきた。


「た、頼む!! た、助けてくれぇ!!」


 無表情で、レイレイは鉄の帽子を被った男を見下げている。


 相手は、完全戦意喪失だった。


 そして、もう一つの装甲車は、レイレイに向けて撃っているが、バリアによってすべての銃撃が弾かれていく。


 レイレイはそんなのは無視していて、男を見下げている。


 赤いチャイナドレスの裾が揺らぎ、レイレイの七星剣の形とられている片耳ピアスも揺れた。


 男は、両手を合わせたまま、にやりと笑い、レイレイにナイフを突き出した。


 しかし、ナイフの切っ先は届かず、レイレイの突き手によって、男の頬をかすめる。


 ジッ!! と、男の頬の皮膚がナイフみたいに切れる。


 レイレイは左手で手刀を放っていた。


 剣を握り、振るうよりも断然早いからだ。


「そんなことだろうと思ったわ……」


 男は腰を抜かす。


 レイレイは赤い冷たい視線を外さなかった。


 バリアは確かに対刃ではない。だが、絶えず素手を鍛えているものに、ナイフなど意味がない。


 根本的に戦術も間違っているし、不意打ちなどは日常茶飯事だが、レイレイを決定的に焚きつけるものがあった。


「私は、別にあなた達がどうなってもいいんです。同じ傭兵として最後まで戦おうというところも評価できます。だけど……」


 だけど、降伏はないんじゃないんでしょうか?


 その瞬間、七星剣を持ったレイレイの身体の中の気功が一気に加速する。


「気功ユニット全開!! パーティカルロイド出力マックス!!!」


 男はすでに気絶してしまっている。


 だが、レイレイにはそんなのは関係ない。


 全力で答えてあげるのみだ。


 レイレイは片手で持っていた剣の柄を両手で持ち、腰を落とし、真っ赤に血塗られている剣が彼女の美しい顔を映し出す。


 そして、金色の剣は輝き始める。


 粒子が高速で回り始め、輝いているのだ。


「天国なのか地獄なのかわかりませんが、全力で答えてあげます!!」


 そして、彼女は双刀使いのシャオイェン以上に剣を振り回した。


「見えない速度の斬撃 无形的速度削减!!!!!!」


 一瞬だけ金色の光が見え、気絶している男には全く何が起こっているのかわからなかった。


 だが、砲撃をし続ける振動で、徐々に男の肉体がばらばらにずれていき、ほぼ残らず、肉、骨、血がまとまった物体となっていた。


 さすがに、バリア出力を消費したので、玄武部隊のシェンリュが前に出てきた。


「さすがに、パーティカルロイド使いすぎよ!!! 人相手になにやっているの!!」


「ゴメン、あ、ありがとう、シェンリュ」


「ここはいいから、ほかの女の子達に任せて!!!」


 リームォは、すぐに戦車の上に素早く乗る。


 すぐさま円形状のハッチを、両手のナイフで円の形を作り、両足で踏み込んだ。


 バガン!! という音と同時に、真っ赤に染まった女の子は戦車の中に入る。 


 中は狭いが、リームォは背が低いので、有利だ。


 男は操縦かんから後ろを振り向き、リームォに向けて拳銃のトリガーを引く。


 リームォは銃の軌跡をすぐに読み取り、ひたすら避ける。


「ひいいいいいい!! こんな変態見たことねぇよ!!!」


 そして、弾丸が尽きた。


 リームォは、男を見上げる。


「おじしゃん、へんたぁいってぇ、にゃあに?」


 男は無垢な瞳が真っ赤に染まっているのが分かった。


 小さな皮を被った悪魔だ!!!


 リームォはただひたすらおびえる男を、左右に顔を除きながら、近づく。


「ひいいい!!!」


「おじしゃん、こたえてよぉ、リームォつまんにゃい……」


 男はすぐにリームォの奥にあるハシゴを目指す。


 ハシゴを何とか上り終えた瞬間、男は叫び声をあげる。


「う、うわあああああ!!!」


 男はハッチから出ようと試みたが、大きく口を開けて、のど元に六角棍が押し込まれる。


「ガボア!!!」という声とともに落下。


 リームォは、すぐにのど元に刃物を突き立てた。


「おじしゃん、リームォ、へんたぁいになりゅたゃい……」


 男はすでに答えることなく、動かない。


 リャンリャンがハッチから見下ろし、叫ぶ。


「リームォちゃん、速く出よ!!」


 赤い影、白い影が戦車から降りる。


 マーメイが両手の拳を作り、腰に手をあてる。


「気功ユニット、全開!!」


 そして、赤い大地へと一歩踏み出す。


 青い髪に隠れた瞳が顕わになり、肩を戦車の側面へと突き出した。


 彼女の身体からバリアが発生し、更に戦車の側面がバリアに沿ってへこむ。


 車体のキャタピラはばらけ、車輪は歪み、はずれ、鋼鉄は半円球にへこんでいるのだ。


 最大限の気功ユニットで、彼女は例の必殺技を叫ぶ。


「摧毁一切貼山靠(あらゆるものを破壊するてつざんこう)!!!!」


 戦車となると、非常に重いが、そんなのはマーメイの鉄山靠(てつざんこう)にはほとんど意味がない。


 変な絵柄だが、戦車を人間がリンチしているみたいだ。


 物凄い衝撃が入り、戦車は装甲車へ向けて吹っ飛んだ。


 装甲車と戦車が衝突し、小さい灯の装甲車も動きが止まった。


 シャオイェンが装甲車の扉をバツ字切りにし、イェチンが入る。


 中では男が椅子に座ったまま、半身をひじ掛けにもたれかかっている。


 イェチンは、刃物一つで警戒しながら、男を確認した。


 男は、のど元に銃口を突き付け、自殺したのだ。


「アイヨー、最後ぐらい戦った方がいいのに。なぜ、自殺する?」


 そう一言漏らし、マーメイに通信で報告した。


「そうですかぁ、わかりましたぁ。銀龍隊長さぁん。戦車と装甲車ぁ、壊しましたわぁ。私たちにぃ損害はありませぇん」


 銀龍から連絡が入る。


「おう、予定以上に早かったな。オレは、今パワードスーツ五台と戯れているんだぜぇ。テメェら、ついでだ、オレのところに来やがれ!!」


 12名全員は返事をする。


「「「我らチャイナガールズは九龍城国のために!!」」」


「ようし、いい返事だ、テメェら気ぃ抜くんじゃねぇぜ!!」


「了解!!」と、メンバー全員は銀龍が戦っている、夕日が差し掛かる倉庫へと向かっていく。




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