2-7 これぞ、危険物質、メイドインガールズ!
巨漢な身体の男は、ごつい体躯を椅子に沈ませている。
その手前で、モヒカン男が頼りなさそうに右往左往していた。
ここは重火器工場の跡地で、ここはほとんど使用されておらず、廃屋だ。
二人の男たちの手前には戦車や装甲車、果てはパワードスーツが並んでいる。
そして、コステロの座っている椅子の手前には、幾人かの兵士が待機していた。
両膝を地面につき、コステロにすがりつく。
「ひぃぃぃ、コステロさまぁ、あいつらバケモンなんてもんじゃねぇ! 機甲兵でも対等に渡り合えるかどうか!!」
「うっせぇ!! ヘビメタ、黙ってろ!!! 既に機甲部隊もスタンバイさせている!!
勝つのは、オレ達だ!! いいか、戦場にはルールなんてもんはねえんだよ!!
やっちまった方が勝ちなんだ!! 目には目を、歯に歯をじゃねええ!!
いいか? 目だったら、首だ、動脈を掻っ切れ! 歯だったら、喉奥をギタギタにしてやるんだよ!!
いいか、わかったな!!」
コステロは、タバコを吸いながら、バーボンを一気に飲み干す。
彼の耳の内部から、哨戒兵との連絡がはいる。
「ヘビメタ様、来客です」
コステロは、眉根を寄せながら話す。
「なんだよぉ、こっちはそれどころじゃ……」
「そ、それが……。ハミルトン綾です……。あ、あ、ちょっと!!」
ヘビメタは、視線をコステロに向けた。
「コステロさまぁ、こんな時に来客ですぅ……」
「だれだよ!!」
「それが、ハミルトン綾です!!」
「通せ!!」
「通されなくても、すでに通っているわよ!」
声が聞こえたら、廃テナントの入り口奥から戦場に不似合いな女性が入ってくる。
「おーう、目の前でみると、もっといい女じゃねえか……」
綾は、口を羽のついた扇子で隠し、鼻で笑い返す。
「あらあら、ゴリラに相手にされるなんて。私もまだまだね」
「ふん、で、何の用だ」
「悪いこと言わないわぁ。降参したら? チャイナガールズ達は、あなたとは釣り合わないのよぉ」
「こ、と、わ、る!!」
「あ、そう。命も全部失えば? 勝手にしなさい……」
欲望のままに、コステロは手下に命令した。
この女をさらえと。
ヘビメタが、モヒカンを揺らし、勢いよく女をとらえようとした瞬間、ヘビメタの前に変な飛来物によってつぶれた。
オカマが、降ってきたのだ。
「メイドインガールズを舐めないで頂戴。そんなに、抱きたいんだったらぁ、抱いてあげるわよぉ……、」
オカマが片手でヘビメタの頭を一つかみにする。
そして、両腕で抱き寄せた。
その胸板は、鉄をつぶすプレス機になる。
モヒカン姿の男が両足をばたつかせ、悶えている。
「う、うがあがあがあががが!!!!!」
「あぎゃーーーーーーー!!」という断末魔を上げ、手下の胴体の骨が、真っ二つになっていた。
腹から足にかけて、プラプラしている。
「あらあら、あたしの抱擁に耐えられなくなっちゃって、死んじゃったのねぇん。あとでお色直ししなくちゃ……」
ハミルトン綾は、白く極まった美の背中を見せ、顔だけをコステロに向ける。
「私に近づけるものは、ユグドシアル大陸。いえ、世界を見渡しても、あの双龍と、マムぐらいなものよ。ほら、いくわよ、空ちゃん」
空は敬礼をし、マミルトン綾を肩に乗っけて、ジャンプして、どっかに消える。
コステロは、グラスを握りつぶし、額に血管を浮き出させ、目の前にいる兵士全員に叫ぶ。
「どいつも、こいつもぉ、俺をコケにしやがって!!!!! お前たち!! 全勢力だせ!!」




