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1-26 リンリームォVS神奈川真奈夜


 スポットライトが消え、会場は元通りになり、リームォが早速パワードスーツを間近で見ていた。


 黒髪、長髪の乙女はパワードスーツを着たまま、小さなキラキラした瞳の中国服の女の子をみつつ、苦笑いする。


 彼女はユグドシアル語で話しかけた。


「あ、あはは、君ぃ、名前なんていの?」


 通じていないのか、リームォはひたすらグルグル見回している。


 よく聞くと、中国語を話していることに気づいた。


 真奈夜は横浜中華街出身の、クォーターなので、片言な時もあるが何とか中国語で話せる。


 話し方を変えた。


「はじめまして、君、名前は?」


「リンリームォ!! おねいたま、ちゅうごくごぉ、はなしぇるの?」


「うん、なんとかね」


 リームォが迷惑していないかと心配して、マーメイが近づいてくる。


 マーメイの身長は高いので、リームォとパワードスーツを見下ろした。


 真奈夜は、彼女を見上げた。


 青いチャイナドレスに、背が大きく、胸も、おっぱいも大きい。


 スタイル抜群だ。


 真奈夜は、目を大きく見開き、全部大きいと言葉に出かけたので、心の中に仕舞う。


「私のぉ、名前はぁ、リンマーメイと申しますぅ。リームォが迷惑かけましたぁ」


「だ、大丈夫、別に。大丈夫ですよ」


 銀龍は、ミヤビを遠くから見ていた。


「ミヤビか……。あれが1台や2台だったら、怖くねぇ。だが、20台とか30台とかなったら、なかなか驚異的だぜ」


 金龍は白く細い指をあごに添えて、作戦参謀らしい素振りを見せる。


「そうね、OEMだし大量導入も可能になる。うちにも1台買おうかしら?」


「いんや、やめとけよぉ。整備コストを考えろよぉ」


「でもさ、フェイロンと共同で使用すればいいんじゃない? 軽そうだし」


「え? フェイロンで運搬するのかよ!!」


「そうよ、使えるわ」


「でもよ、誰乗るというか、着るんだ?」


「そうよねぇ、クンフーは抜群なんだけどねぇ」


「そろそろ、次の段階をかんがえなくちゃあ、いけねぇな、うちらも」


 銀龍と金龍の瞳が青くなる。


 緊急通信網から着信したのだ。


 しかも、さっきプレゼンを終えた綾からだった。


「んだよ、綾ちゃん。ミヤビを間近で見たかったのによぉ」


「だったら、たまには私が行ってくるわ。双方向通信のチャンネルを開いておいて?」


「わかった、だったらよろしく」


 銀龍は、金龍に右手を投げて、舞台の方に向かった。


 真奈夜は、表舞台に立つのは慣れているが、自信もマジマジと見ら続けているのは、


 段々たえられなくなってきている。


 恥ずかしいのだ。


 日本で育っているので、特にこのような注目を浴びるような訓練などを受けていない。


 思わずたまに瞼をつぶっている。


 が、また中国語で呼びかけられたので、目を見開いた。


 目の前には、ほぼナチュラルメイクの、小柄な女性が突っ立っている。


 銀色のチャイナドレスに、中国扇子、更にはセミロングの黒髪の、作られていない美しい女性だった。


 真奈夜よりも小柄なのだが、真奈夜の今までの戦闘での経験が、相手の驚異的な強さがあるのが直感で分かった。


「よう、テメェさん、セーラーガールズなんだってな?」


 いきなり、中国語で話しかけられたので、ユグドシアル語で話しかけそうになる。


「なんで、私が中国語話せるの分かったんですか?」


 女性は、拍子抜けした顔で、笑う。


「んあ? リームォのやつが話していたからよぉ。リームォが話せるのは、1カ国語だけなのは間違えねぇ。ああ見えて12歳なんだけどな?」


「あの子、12歳だったんですか!!」


「おうよ、それよりもよ、テメェが中国語を話せるからよ、ちょっと興味があるわけよぉ」


 真奈夜は、心の中で身構える。


「な、なんですか、部隊情報などは死んでも話しませんよ」


「ちげーよぉ、オレはただ単に世間話しに来ただけなのによぉ。テメェ、日本人だけど、横浜の中華街出身なんだろぉ?」


「は、はい、そうですよ」


「あれだ、九龍城国ともパイプが繋がっている、銀州、知っているか? えっと、英語名ではシルバーシュウケイ」


「え? 商店会の会長?」


「お、繋がったなぁ。おうよ、アイツは元気しているか?」


「老人になっても、まだまだクンフーしていますよ」


「そうかい、オレの師匠が元気だったら、いいや。じゃなぁ、セーラーガールズの真奈夜ちゃん」


 隣で、エンジニアスタッフの人が怖い顔をしている。


 ユグドシアル語に切り替えて、真奈夜は聞いた。


「なに、驚いているんですか?」


「き、き、きみは、知らないから話せるんだ。あれは九龍城国傭兵集団、チャイナガールズの長だよ」


「やっぱ、そうだったんですね。彼女は群を抜いて、違う感じがしました」


 シルバーシュウケイからは、一度だけ聞かされたことがある。


 九龍城国に住んでいたことがあったらしく、その時、一人のお姫様がクンフーをしたいとのことだったそうだが、それを教えていくうちに、恋にも見向きせず、ひたすら真剣にクンフーを目指していったそうだ。


 そして、シルバーシュウケイが横浜中華街にやってきてからのこと、九龍城国は目覚ましい国の発展となり、話題となっていて、彼女が傭兵集団に所属していたということは知っていたらしい。


 シュウケイは、彼女のことが心配だったらしいが、うまく力を制御していると語っていたのが印象的だった。


 シルバードラゴン。


 真奈夜は、到底かなわないと悟った。


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