5-EX2 この時、金龍さんは?(おまけ2)
オレは、復興の手伝い兼事務処理を全部終えて、隙をみて何とか劉龍飯店にやってきていた。
辺りは既に夕暮れを通り越して、夜になっていたのだ。
薄明るいガラス製の扉を開けると、そこには金髪で青い瞳のお坊ちゃんがいた。
「銀龍!! これはどういう事だ!!!」
お坊ちゃんから送信させられた画像がオレに流れてきた。
ヨウを説得するために腰に手を回した写真だ。
もう、アングルからにして、犯人は一人しかない。
「きぃ、金龍!?」
「僕というものがありながら、君ってやつは!!」
「い、いや、テメェ、そもそも論、オレとテメェはまだ付き合っていなねぇだろうがよぉ!!」
「付き合ってくれるのか!!」
「いや、そうじゃねぇよぉ!!!」
「じゃあ、説明してくれよ!!」
「コ、コ、ココココココミュニケーションだよぉ!!」
「コミュニケーション!! どう見ても親しくしすぎじゃないか!!」
「し、親しいっつーかよぉ、オレの手癖が悪りぃだけなんだよぉ」
「手癖が悪いのか!!」
う、うおおおおおおおおおおおおお!!!!
め、めんどくせぇ!!!!
オレは、思わず両手で長髪をかきむしる。
ルェイジーは、遠くの方で、銀龍と翔との会話を聞いている。
「アイヤ、二人とも何かあったかアルネ?」
隣のルェイジーママもバーの下準備のためにたまたま居合わせる。
顎に手を添えた。
「あらあらアルゥ、カップル喧嘩アルゥかねぇ?」
ルェイジーママが、二人に近づく。
「まあまあ、お二人ともぉ、カップル喧嘩はよしなさいアルゥね」
二人は同時に叫んだ。
「カップルじゃねぇよ!!」
「カップルです!!!!」
そして、二人の口論が再び始まった。
ルェイジーママは、ひたすら眉をしかめ、困った顔をさせている。
劉店主は、しかめっ面のまま新聞を広げ、つぶやいた。
「喧嘩するほど、なんちゃらだねぇ……」
二人の口論はルェイジーママのバーが開店する直前まで続いた。
私の名前は、金龍。
チャイナガールズでも副参謀役を務めているわ。
私は、本当にこの部隊が大好きなの。
色々なキャラの濃い女の子たちがいっぱいいて、毎日ワチャワチャしていて楽しいったらありゃしない。
私の目の前にいる相棒の銀龍は、繊細だけど非常に頼もしいし、私はずっとあなたを守ると決めてから、プライベート以外は大体付き添ってあげてるの。
特に、私が一番大好きな趣味は、紹興酒を飲みながらのダーツ。
毎日、ダーツやってもいいわ。
結構、異性との出会いもあって、おススメよ。
私の目の前には、ロングストレートヘアーの小柄な女性が一人でものすごく乱暴な口調で喋っているわ。
彼女が、銀龍です。
非常に粗暴な口調だけど、本当は繊細な女性なのよね。
パートナーとしては、非常に良いけど、もう少し男の影があった方がいいのかもしれないわ。
私はいたずらが大好きで、銀龍は交渉事になると、相手に自然と手を触れたるするの。
今回は随分と大胆にいったわねぇ。
腰にガッツリとまあ、手を回していること……。
なかなか、真面目でカタブツな感じの背の高い男だけど、実は芯が通っている男。
私は、嫌いじゃないわ。
その男の腰に手を回して、楽しそうに会話している銀龍の写真をスマートコンタクトレンズの機能で撮ったわ。
それを、後で彼に送信しなくちゃ。
私は、顔を変えずに微笑させていたけれど、内心はとても笑いそうで笑いそうで、耐えられなかったわ。
彼にそれを送信してあげたら、私の耳の内側からもう凄い剣幕で、演習中だったというのに仕事投げ出してきて、九龍城国に急遽やってきたみたいだったわ。
もう、楽しいったら、ありゃしない。
これだから、九龍城国にいるのもチャイナガールズにいるのもやめられないわけよ。
今日も、私はダーツバーでお酒飲みながら、夜遊びでもしてるわ。
あなたも、ダーツバーに来てみる? 楽しいわよ、ダーツ。