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チャイナガールズ!!~スーパーカンフーハイパワーチーム~  作者: 乾ヒロキ
カオルンセングォ毒ガスパラダイス編
165/178

5-85 真実の裏九龍城国。その2

 

 ツィイーは動かない身体のまま、口だけは自由に動くのか、龍王を睨んだままだ。


「何が、避難システムよ。国民全員を催眠状態、適度に操っているのが、国なんて言うのかしら?」


「では、お伺いしましょう。ツィイー元黒龍会会長。国を動かすためには、もう幾千年も続いていることですが、国に所属する限りは、国民をコントロールすることは必ず行われています。

小さいころから植え付けられた、正義ともいえるシステムです。

それは、国が教える教育、街の構造、ましてやそこら辺にあるプロパガンダ。

情報戦術ですね。これは、どの国家も必ず行っていること。

そして、我々の一族の場合は、お金の一枚一枚にも誰がどのように使っているのか、ある程度分かるように、システマティックになっています。

まだ、催眠の方が、自由があるとは思いませんか?

弾圧すら起こらず、国民が幸せに暮らし、生活する。

どこぞやの、隣の国のように弾圧し、暴力で鎮圧させ、更には家族のお墓参りですら、拘束される。

それは、本当の自由でしょうか? 民主主義とは、一体どういうものなのでしょうか?

あなたは、この国を支えることが出来ますか?」


「自由!? そんな自由なんて!! 国民を洗脳し、自分の都合の良いように回しているだけじゃない!!」


「では、あなたにお伺いしましょう。今回のようなテロの場合、私の能力が無ければ、どれほどの被害が出ていたのか?

そして、その被害は、もっと拡大し、混乱し、国民の命の危険の確率も上がったでしょう。

ですが、私の声龍の力により、あっという間に避難がすみました。

あなたでしたら、混乱した国民をどのように避難できますでしょうか?

私は、いつでも王として龍王として、退く覚悟はできています。

あなたのやり方は少々頂けなかったのは、事実!! 前代の龍王でしたら、聞く耳すらなかったのかもしれません。ですが、私は違う。

一言でも話していただければ、何かしらの改善、もしくは変革をもたらしたのかも知らなかったのに……。

選択の間違えは、国益の最大の損失です。

あなたは、それを行おうとした時点で、国の者としての資格はありません!」


 ツィイーは、ありとあらゆる怒りをミンメイに込めた。


 だが、ミンメイは両手の黒い柄を、諸手で軽々と受け止めた。


「私の声の能力は通じないのですね。

ユー調理師の情報によると、あなたは非常に諦めが悪く、目標を掲げようなものならば必ず執行するまで諦めない。

正直、様々な人々を見てきましたが、あなたはかなり強靭な精神力です。

良いでしょう。私と力比べも、一考。

私は性格上、銀龍、シェンメイに言われたとおり、戦闘に不向きなタイプなのかもしれませんが、

決して弱いという意味でもありません。あしからずです」


 ツィイーがどれだけ力を入れても、彼女の細い身体には似つかわしくない、パワードスーツで押されているような錯覚をうけた。


 彼女は、額に汗を浮かばせつつ、一言だけ叫ぶ。


「バ、バカな!! 私の滅殺蟷螂拳でも押し返されるだと!?」


「私は、相手も洗脳することも可能ですが、私自身も洗脳させることも可能なのです。

声だけが、洗脳の道具ではありません。

私は、様々な化粧の種類を変えることにより、自身の身体的パワーを、生身ながらにパワードスーツクラスの力を出すことが可能なのです。

スピードやパワーは、スーツ装着時の銀龍や金龍に劣るものの、等しい力を出すことは容易いことなのです」


 ツィイーは徐々に押し返そうとしているが、相手は微動だにしないのだ。


「ぐ、貴様ぁ!! どれだけ偽善ぶっても、声を操り、謝った人物像を作り上げ、更には国民を欺いているなど、誰が信じるのか!!!」


「私達一族は、女性しか生まれなくなりました。

なので、わたくしの代で龍王という虚像は終わらせるつもりだったところ、あなたという存在が、このような事態まで広がるとは正直思いませんでした。

これも良い機会でしょう。私は、ありのままの事を国民に伝えるつもりでした」


「国民が、納得すると思うのか!?」


 壁を押しているような諸手に、徐々にツィイーが押されていく。


「それは、国民全てに委ねようと思います」


「バカな、それでは本当に私が道化なのではないか!?」と、ツィイーが八重歯をあらわにした瞬間、銀龍が突撃してきた。


 ツィイーは、後ろへとはずみ、大きく跳躍し、階段下に着地をさせて、勢いを殺した。


 銀龍の超絶的なパワーとスピードの銀色の球体をかわしたのだった。


「銀龍、貴様ぁああああ!!」


 銀龍は、ミンメイのすぐ右横に低空飛空から、着陸する。


 玉座の目の前に到着したのだ。


 銀に染まった鎧から、マニュピュレーターを動作させてキセルをくわえた。


「へ、テメェさん、良いカンしてるぜぇ? 今の突撃、普通の奴だったらよぉ、とっくに吹っ飛んでんぜぇ?」


「お前だけでもせめて!!」


「おうおう、パワードスーツをパージ(脱いだ)した方が良いか?」


「ぐ、私をどこまで、愚弄する!!」


 銀龍は、完全に唇の端を吊り上げ、牙を剥いた。


「へへ、これでもよぉ、褒めてんだぜぇ? 龍王までたどり着いた奴なんて聞いた事ねぇ? 大体、オレ達チャイナガールズがテロリストは始末してきたしな。

だが、暗闇の中よりもどす黒いテメェらの事なんざ、気づきもしなかったぜぇ。

ドラゴンテロリスト。今回は良い勉強になった。テロリスト計画はご利用的にな。ということをよぉ、改めて教えられたぜぇ?」


 ツィイーは、銀龍を見上げていたが、殺気を感じて右隣に顔を向けた。


 ヨウが、仰向けになったまま、ツィイーに銃口を向けていた。


「ツィイー姉さん、俺と一緒に逃げよう!!」


「あなたも、しつこいわね!! 私はドラゴンテロリストのツィイー!! この九龍城国をひっくり返すためだけの存在よ!!」


 ヨウは、拳銃を構えたまま、自身の体躯を起こし始める。


「姉さん、これだけ言っても無理かい? あの時、結び紐でオレに飾り物をくれたじゃないか。こんなことは、やめよう!! 誰が幸せになるんだ!! メイヨウか!? それとも、姉さんあなたなのか!?

こんなこと、誰もが得しない。

あなたは、メイヨウを協力者として迎え入れることもできない。できるはずがない!!」


「私が、メイヨウ様の事をどれだけ思っているのか、分かっているのかしら?」


「しらないよ、姉さん。僕たちの間にはそれだけとても深い溝が出来たんだ。まだ、その溝は埋められると、俺は思っている」


「私は……元黒龍会会長、チャン・ツィイー!! それだけの女よ!!」


「よく言えば、古風。悪く言えば頑固。変わっていないよな、姉さん!!」


 ツィイーは銃口を目の前にして、胸をはる。


 白いブラウスから形の良い胸をつきだしたのだ。


「もし、仮にあなたの姉だとしたら、あなたに撃てるはずがないわ」


 銀龍は、二人のやり取りを見下ろしつつ、叫ぶ。


「おい、ヨウさん!! やめろ!! どうあがいてもヤツは抵抗するつもりだぜ!!」


「銀龍さん、黙って頂けますか? これは、姉さんと私の問題です」


「なるほどだぜぇ、おっしゃる通りだな。プライベートには首はつっこめねぇな?」と、銀龍はせせら笑っていた。


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