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チャイナガールズ!!~スーパーカンフーハイパワーチーム~  作者: 乾ヒロキ
カオルンセングォ毒ガスパラダイス編
161/178

5-81 カォルンセングォゴキブリホイホイ大作戦!! その8

 

 ヤーイーの蹴りの威力が思いのほか激しかったのか、黒装束の影はそのまま土をえぐりながら、転げた。


 そして、五回転ほど体躯が転がった後、その影は大の字に仰向けになったまま、動かなかった。


 グラウンド中央部の辺りに来て、ようやく止まったのだ。


 赤いバニーガールの恰好をしている、ブロンド髪の美女が一言だけ呟く。


「あら? 殺しちゃった?」


 小柄な恰好をしている、バニーガールがガスマスク越しで、もごもごと口を動かしているようだ。


「どうやら、生きているみたいですね。さすがに衰弱しているみたいですが……。


 それと、今更ですが、鷺沼はコンタクトレンズで弱点の一つである光をうまく遮っているようでした」


 四肢を震わせながら、服部半蔵はゆっくりと立ち上がる。


 黒装束もほとんど裂けていて、ところどころから銀色のアーマーが見えている。


 ルェイジーが、それを見つつ指を差した。


「アイヤ、ゴキブリ、金属も装備しているアルネ!!」


 マーメイは、ゆっくりとした口調で説明した。


「あれはぁ、鎖かたびらというやつですわぁ。中国にも似たような防具があったはずですぅ」


「くさりかたびらぁ? 乾燥したラーメンみたいアルネ?」


 イェチンは、先ほど弾き飛ばされたヒシュを回収したみたいで、両手で兵器の柄を握る。


「アイヨー……。ルェイジー食べ物の話はあとよー。さっさと仕事終わらせるよー……」


 マーメイは、槍は使ってしまったので、両の掌を広げてルェイジーのように八極拳の構えをさせた。


「相手はぁ、手練れですぅ。油断は禁物ですぅ。皆さぁん、作戦再開ですよぉ!!」


 鷺沼は、両手両足で小さな体を起こし、両腕を広げて体を震わせて空に叫んだ。


「せっしゃはぁああああ!! まだまだ研究がしたりないんだぁあああああああ!!」


 鷺沼の口からその言葉が爆ぜると、一直線にマーメイに向かってくる。


 その前に、イェチンが立ちふさがる。


 彼女の瞳は、青い眼光を走らせ鷺沼へ急接近。


「アイヨー、どれだけ国の人を殺せばすむのよー!!!」


 ボロボロになった黒装束を着ている男は、右手でイェチンの喉元に手を伸ばそうとする。


 イェチンは、軽やかにその手から逃れる。


「きさまぁああああああ!!」


 鷺沼が様々な攻撃をするが、イェチンは全部避けているのだ。


 彼の手も遅くはないのだ。


 それでも、彼女は全てを見切っている。


 イェチンが動くたびに、川の水のように黒く美しい髪が流れる。


「アイヨー、そんなに実験が好きだったら、自分をいじくればいーよー!! 気功ユニット全開!!」


 次の瞬間、鷺沼が左手で掌底を出そうとした時だ。


 イェチンは、その手を掴むと同時に、相手の右足の脛に中国靴を真下に踏みつけた。


 木刀が折れたような、音が響く。


 確実にその足の方向がおかしくなっていた。


 鷺沼は、丸く見開かれた目玉から滝のごとく涙を流した。


「ぎびゃあああぁあああああ!!!!」


 イェチンに、優しさなどない。


 彼女も立派な一人の傭兵だからだ。


「アイヨ、骨砕けたぐらいで、叫ぶのだったら今まで死んでいった子供達の分にもならないよー。

行くよ!! 每个关节都被粉碎了鷹爪連拳散手!!!(あらゆる関節が砕かれる鷹爪連拳散手)」

 

 青い眼光をギラリと光らせると、イェチンは鷺沼に容赦なくその掴んでいる手を回して、右腕の関節を外した。


「ぐぎゃあああああ!!」


 今度は、後ろへ回り込み、左腕の肩の関節を外した。


「うぎゃああああああああ!!」


 そして、最後は相手の正面へ戻り、左足の関節をそのまま鋼鉄製の中国靴で踏みつける。


 膝の皿が割れる音が響くと、完全に相手が無力化してしまった。


「いたいいたいいたいいたいいたい!!! ぎゃああぁああああああ!!」


 両腕はぷらついていて、両足はあらぬ方向になっている。


 さすがの、毒ガスコマンダー鷺沼でも立っていることは出来なかった。


 そのまま仰向けへ倒れこもうとするが、ルェイジーがそのまま駆け寄ってきて、鷺沼の背中へと高速で回り込んで、両足で蹴った。


「マーメイ、パス、アルネ!!」


 30メーターほど直線状にマーメイの所まで吹っ飛ばされる。


 彼女の左どなりには、バリア式の牢獄がある。


 マーメイは、微笑をさせつつ、巨大な体躯を目いっぱい急激に屈ませた。


「きこぉユニットぉ全開ぃ!!!」


 彼女の青い髪で隠れていた左目が顕わになる。


 背中の青龍の刺繍が青く輝きだし、短いチャイナドレスの裾がめくりあがると、黒いレースの下着が見える。


 土が陥没し、10メーターほどのクレーターが出来た。


 一刻と迫りくる鷺沼の背中を見つめながら、彼女はお腹から声を出した。


「覚悟はぁ、良いですかぁ、鷺沼さぁん!!!」


 そして、一度だけ軽く跳躍させながら、マーメイは叫んだ。


「超!!連還腿(れんかんたい)ですぅ!!!」


 二段階に渡って、その男を蹴り上げる。


 マーメイの連還腿(れんかんたい)は、戦車をも転がす威力だ。


 鷺沼は、そのまま空中状態から、彼女の蹴り足によって上空へと高く高く吹っ飛ばされた。


 既に、鷺沼は気絶していたのか、声すら出なかったようだ。


 マーメイの左右に、二つの青い残像が到着する。


 イェチンが、右手で手の平を作って、空を仰いだ。


「アイヨー、マーメイ小隊長、本気出しすぎよー。落ちてこないよー、星になったよー」


 ルェイジーは、両方の眉を吊り上げ叫ぶ。


「ゴキブリ、許さないアルネ!! 容赦しない、アルネ!!」


 マーメイも、おっとりとした口調で声を出した。


「あらあらぁ、すこぉし、やりすぎたかもぉしれませんねぇ……」


 三人の間に風が通り抜ける。


 そして、ルェイジーが、上空の影に向けて人差し指を出す。


「ようやく戻ってきたアルネ!!」


 爆音を鳴らしながら、黒い物体が飛来してきているのだ。


「あの位置はぁ、ちょうどいいですねぇ……。そのまま落下すれば、牢獄入りですぅ……」


 その様子に付き合うかのように、バニーガールズの二人も空を仰いでいる。


「粗削りですが、なかなかのチームワークでした」


「ま、そこも含めてシルバードラゴン仕込みかしら?」


 その黒い物体は、垂直に落下して、大爆音を鳴らして牢獄の中に墜落した。


 鷺沼と認識した牢獄は、薄青いバリアを放って、コンテナの中に鷺沼を閉じ込めた。


「アイヨー、生きてる?」


 ガスマスクをしている女の子は、牢獄の前まで歩き、それに指令を出す。


「バリアを一旦、解除してください……」


 バニーガールの格好をした小柄な少女は、牢獄へ入ると再び指令を出す。


「幽閉お願いします……」と、再度命令を起こすと、フレーム同士が薄青いバリアで繋いだ。


 白髪の男は首だけを動かして、ガスマスクをしている少女を見つめた。


「きさまぁあああああ!!」


 彼の四肢はほとんど、断絶状態だというのに、それでも両腕と両足を動かしている。


 彼女はゆっくりと、ガスマスクを脱ごうと、細く白い指に手を入れる。


 赤いバニーガールの恰好をしている少女は、ガスマスクをはいだ。


 彼女の顔は陰になっていて、ハッキリと見えていないが、大きな瞳らしきものが赤く光っていて、醜い黒

装束の男を見下げた。


「お久しぶりですね、鷺沼博士。私は現在アスペルギルスと名乗っています……。強靭な体力と、博識であるあなたでしたら、私が誰なのか……察してくれますよね?」

「CO2(シーオーツー)のイヤリングに……グラビティのGジー……ひゃぁあああああははは!! バニー7(セブン)かぁぁぁあああああ!!!」


「名前なんて、どうでも良いです。私に父親が見つけることが出来れば、アスペルギルスでも、バニーセブンでも良い……。

あなたも私の本名は知っているはずです……。私が製薬会社に勤務していた時の名前を知っているはずです。

ま、あなたのことです。

ほんの一研究員の事ですし、人に興味自体がないので、あなたが覚えているとは期待していません」


「きさまの本名、しっているぞぉおおおおおお!!」


「それは光栄です、鷺沼博士。ですが、ここで名乗ってもらっても何も嬉しくありません」


 アスペルギルスは、オリーブドラブ色のショルダーバッグに手を伸ばした。


「貴様のなまえはぁぁああ、貴様のなまえはぁああああ!!!」


 彼女は、バッグから試験管を取り出すと、鷺沼の顔の真横にそれを落下させる。


 中身の入っていない試験管は、粉々に割れた。


 その瞬間、鷺沼の鎖かたびらが解けるように、消えていく。


「ぎゃああぁああああ!! あついあついあついあついぁあああ!!」


「これは、半径1メートル以内でしたら、金属を高速で食らう細菌です。

ですが、寿命は短く、空気にとどまれるのは非常に短いです。

金属を高速で食べていくため、結構な熱量が発生します。

金属は好物ですが、有機物は食べません。あなたは、人の命をオモチャみたいに遊びすぎです。

なので、当分の間、中国政府にずっと拷問を受けてください……」


 彼女は、ガスマスクを再び被ると、鷺沼に直接ヘリウムガスを吸わせた。


「ぎゃああああああ!! また、ヘリウムガスアルネ!!」と、首を掻きむしったまま、彼は動かなくなった。


「あなたは、殺しません。殺すような価値もない人です……」


 小柄な少女は、バリアを解除させて再び牢獄の外へ出た。


 そして、バニーマムの傍まで歩いてきた。


「あら、話し合いは終わったの? バニー7(セブン)?」


「ええ、終わりました。一応、彼と私との因縁、ひと段落の決着という所でしょうか?」


「今回も、良い仕事ありがとうね?」


「こちらこそ、いつもありがとうございます。全ては、私が探している父親のためです」


「そうね。報酬ははずまさせてもらうわ?」


「了解です、バニーマム」


「他のバニーたちはバカンスだというのに、アスペルギルスちゃん、休日出勤と残業お疲れ様!! あとは、シルバードラゴン次第ね!!」


 バニーマムは、小柄な少女の肩に手を叩くと、テントへ戻っていった。


 アスペルギルスの前に、ルェイジーが突如抱き着いてきた。


 ガスマスクに頬ずりをさせる。


「うわーい、アルネー!! アスペルギルス、強いアルネ!!」


「わわ、何ですか、ルェイジーさん!!」


 そして、ルェイジーのお得意の怪力で、アスペルギルスの脇に手を入れて、何十回とメリーゴーランドみたいに高速に横回転する。


「うわうわうわわわわわぁあ!!」と、アスペルギルスは両目がグルグルと回っているのだ。


 遠目で見ている、イェチンとマーメイは二人で会話していた。


「アイヨー、ルェイジー。距離感、近すぎるよー」


「まあまあ、あの二人にもぉきっとぉ何かあったのですよぉ……」


 ルェイジーは、さらにアスペルギルスを20メーターほど、高い高いをさせていた。


「凄い、アルネー。高い高いアルネー!!」


 アスペルギルスは、目をグルグルにさせたまま、赤ちゃんみたいに首が座ったまま、ルェイジーになすがままにされる。


「うわー、なんかすごい縦に揺れていますー!! ジェットコースターよりも怖いです!!」


 この時、アスペルギルスの中で、ジェットコースターよりも苦手なものが生まれたのだった。


本作品はいかがだったでしょうか?


ツイッターでは、キャラクターが曜日ごとを変えて、つぶやいていたり、裏設定の内容を話していたり

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